介護業界に適した人事評価制度とは？設定ポイントやメリット・デメリット

昨今では、介護業界でも人事評価制度を導入するケースが増えています。実際に、人事評価制度の導入によって、介護業界の課題を克服できた事例も多く見受けられます。

課題を克服できた施設に共通する点は、「介護業界に適した評価制度」を導入したことです。

そこで当記事では、介護業界に適した人事評価制度を設計するポイントや、人事評価制度導入によるメリット・デメリットなどを解説します。

1 介護業界における人事評価制度の必要性・メリットとは？
2 介護業界における人事評価制度導入のデメリット
3 介護業界における評価基準について
- 3.1 評価基準の一般的な考え方
- 3.2 介護業界特有の評価基準
4 介護業界における人事評価制度の設計・運用ポイント
- 4.1 設計フェーズで考慮すべきポイント
- 4.2 人事評価制度の運用フェーズ
5 介護業界にオススメ「人事評価構築パッケージ」について
- 5.1 サービス概要
- 5.2 特にオススメなユーザー層
6 まとめ

介護業界における人事評価制度の必要性・メリットとは？

そもそも、介護業界における人事評価制度の必要性とは、何なのでしょうか？
詳細は以下の通りです。

人材の確保と育成

少子高齢化による「需要の増加」と「働き手の不足」によって、介護業界の人材不足は深刻化しています。加えて、利用者に質の良いサービスを提供すべく「質の高い人材の確保」および「既存スタッフの育成」が必要です。
人材の確保および育成には、現状・課題・将来的な目標が欠かせません。「現状・課題・目標」の3点を見据えるには、人事評価制度が最適だといえます。なぜなら、人事評価制度を作る際には、目標と現状を把握したうえで、課題を克服するための評価項目を設定するからです。

モチベーションの維持

介護業界では、利用者への安全面や満足度を高めるために、スタッフのモチベーションを維持する必要があります。給与や待遇だけではなく、頑張りを評価することで、従業員のモチベーションを高めることができるでしょう。また介護職は、営業職のように数字で判断するのは難しく、定性面を踏まえた判断が必要です。

定性面を正しく判断する際に、人の客観的な判断は適しません。なぜなら、判断のものさしが人によって変わるからです。人事評価制度を用意すれば、評価の判断軸が公平になるため、納得いく評価ができます。納得度の高い評価結果は、各自のモチベーションアップにつながります。

サービス品質の向上

介護施設や機関が業績維持やアップを目指すには、利用者の満足度を無視することはできません。利用者の満足度が低ければ、新規の申し込み者はもちろんのこと、他の機関を利用されてしまう可能性があるからです。

従業員が明確な評価軸に沿って働くと、サービス品質が均一化・向上します。サービス向上によって、利用者の満足度が高まれば、結果として事業成功につながるでしょう。

企業理念や目指すべきゴールを共有できる

人事評価制度を導入すると、企業理念や目標をスタッフに浸透させられます。なぜなら、人事評価制度は、「企業理念や目指すべきゴール」の達成を目指したうえで、作成されるからです。

実際に評価基準となる項目には、企業理念や長期目標に直結する要素を取り入れます。項目を見ることで、スタッフの働きが「組織にどのように貢献するか？」がわかるため、企業理念やゴールの浸透につながるでしょう。

介護業界における人事評価制度導入のデメリット

人事評価制度は多くのメリットを持つ一方で、デメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです。

定性的な部分の評価がむずかしい

介護業界のような人を対象にする業種は、定量的な評価が難しく、一概に数字で評価できないケースも多いでしょう。利用者満足度や対人スキルなどは、数値で表現しにくい部分です。

定性的な部分は、定量的な部分よりも評価に神経をつかいます。なぜなら、評価方法が不適切だと、スタッフの不満につながるからです。そのため、介護業界で人事評価制度を導入する際には、業界の評価に詳しい人事評価システムなどを選ぶ必要があります。

業務に偏りが生じるリスクがある

評価項目や基準に偏りがあると、その偏りに合わせて業務が行われる可能性があります。

売上や業績を重視すれば、顧客サービスやチームワークが犠牲になることもあるでしょう。その結果、企業全体のバランスが崩れ、長期的な発展が阻害されることも考えられます。
（※介護業界における人事評価制度の設定については、後述します。）

過度な競争心の芽生え

人事評価制度が導入されると、評価結果による報酬や昇進が影響を受ける場合があります。これが過度な競争心を生む土壌となり、ストレスを生じやすい労働環境になるかもしれません。介護業界は、協調性やチームワークが重要です。過度な競争心が、協調性やチームワークを阻害する事態は避ける必要があります。

そのため、介護業界で人事評価制度を導入する際には、人間関係を良好に保てるような内容を選ぶことが大切です。

介護業界における評価基準について

介護業界で人事評価制度を導入する際には、介護業界における評価基準を考える必要があります。まずは、評価基準に対する一般的な考え方からチェックしてみましょう。

評価基準の一般的な考え方

一般的に、評価基準とは、従業員のパフォーマンスを測定するための具体的な指標・基準を指します。また評価基準には、「業績評価」「スキルセット」「対人スキル」など多くの要素が考慮されます。評価基準は、組織が目指す方向性や、その業界特有の要求に応じてカスタマイズされるべきです。

介護業界特有の評価基準

介護業界においては、一般的な評価基準に加え、特有の要素も含まれます。例を挙げると、以下の通りです。

コミュニケーション能力…介護職は人を相手にするため、人としての資質が問われます。
専門スキル…必要な技術・知識の保持はもとより、それを活用できているかも重要です。
協調性…介護は基本的にチームで行うため、協調性がある人は評価されるべきでしょう。
リーダーシップ…マネージャーやシニアスタッフに期待される能力であり、人材育成につながります。

一般的な評価基準と介護特有の評価基準を明確にし、従業員の成長と共に組織全体を高めることが、介護業界における人事評価制度の真髄です。

介護業界における人事評価制度の設計・運用ポイント

人事評価制度を介護業界で成功させるには、設計・運用が重要です。基礎である「設計」が不適切だと、評価を実施しても正しい結果を導けません。また適切に設定されていても、運用方法が誤っていれば、思うような効果が出ないでしょう。

人事評価制度を導入する際には、以下のポイントを踏まえることが大切です。

設計フェーズで考慮すべきポイント

まずは、評価制度を導入する目的を明確化します。

～例～

モチベーションアップをはかりたい
人間関係の希薄化を解消したい

目的がはっきりしていることで、その後のステップがスムーズに進行します。

目的が明確になったら、評価制度の設計に入ります。その際に、経営者だけでなく、現場のスタッフからもフィードバックを得ることで、より現実的で実用的な評価制度を設計できるでしょう。

また介護業界を取り巻く環境は日々変化するため、柔軟に対応できる点もチェックします。

評価基準は、単に業績やスキルだけでなく、人間性や対人スキル、リーダーシップ能力なども多角的に取り入れるとよいでしょう。年1回の評価だけでなく、定期的な中間評価を設けることで、従業員が自身の成長をより具体的に感じられるようにします。

人事評価制度の運用フェーズ

実際に評価制度を運用する際には、運用前にスタッフを対象とした「オリエンテーション」を実施すると良いでしょう。

評価のポイントと目的を全員に説明しておくことで、運用後の混乱を避けられます。

評価スパンは半年や1年などの長期ではなく、1か月～1週間レベルでの中間評価を設けると、スタッフ自身が「自身の成長」をより具体的に感じられます。同時に評価結果の伝達とフィードバックを実施しましょう。加えてスタッフからの意見も取り入れれば、評価制度の改善に活かせるでしょう。

また、評価を実施して終わりではなく、評価結果を元に、具体的な人事戦略（昇給、昇進、教育訓練など）を展開することも重要です。

介護業界にオススメ「人事評価構築パッケージ」について

人事評価制度の導入は、多くの組織が悩む課題の一つです。特に介護業界のように、人材のスキルや資質が直接サービスや品質に影響を与える業界では、効果的な人事評価制度が求められます。そのような中で、高い評価を得ている人事評価システムが「人事評価構築パッケージ」です。ここでは、介護業界で好評を得ている「人事評価構築パッケージ」について解説します。

サービス概要

「人事評価構築パッケージ」は、人事評価制度の設計から運用、人事評価システムの導入まで一括で行えるサービスです。具体的には、以下のような内容をサポートします。

評価項目の設定
評価基準の明確化
評価フローの設計
評価結果にもとづく報酬制度や人材育成プランの策定
導入前・導入後における不明点のサポート
スタッフへのオリエンテーションを実施

介護業界で人事評価制度を導入する際に必要な内容を、1つのパッケージにすべて集約するため、忙しい担当者も安心して利用できます。

特にオススメなユーザー層

「人事評価制度構築パッケージ」は、特に以下のようなユーザー様に好評を得ています。

介護施設
ホームヘルパー
老人ホーム

など

介護業界は人材不足が叫ばれ、離職率が高いという課題を持っています。また「コミュニケーション不足」「ルーチンワークが多くモチベーションを維持しにくい」などの課題を抱える組織も多いでしょう。「人事評価制度構築パッケージ」は、組織ごとに課題を汲み取り、課題解決に向けたベストな方法を提案できます。人事評価制度の設計内容が決まっている場合はもちろんのこと、設計や運用方法も定まっていない場合も、ご活用いただけます。