人事評価制度の見直しや業務効率化を目指す企業にとって、人事評価システムの導入は重要な選択肢です。
しかし、機能やコスト、運用体制などが自社に合わないシステムを選んでしまい、導入後に失敗を感じるケースも少なくありません。
本記事では、人事評価システムの基本や選び方をはじめ、導入することで得られるメリットや費用を抑えるポイントを分かりやすく解説します。
目次
人事評価システムとは?基本を解説
人事評価システムとは、従業員の目標管理や行動特性などの情報をクラウド上で一元管理し、公平で透明性の高い評価を実現するためのツールです。
紙やExcelで管理されていた評価シートをデジタル化し、進捗をリアルタイムで共有できます。
評価者は設定した指標に沿って入力するだけで自動的に集計でき、フィードバックや面談記録も紐づけられます。
これにより、属人的な判断や記入漏れを防ぐことが可能です。
また、評価結果と給与・昇格データを連携することで処遇の根拠が明確になり、従業員は納得して働きやすくなり、上司はマネジメント業務により集中できます。
さらに、人材プロファイルと紐づけて、スキルの棚卸しや人材配置の検討に活用できる点も特徴です。
人事評価システムの選び方
人事評価システムにはさまざまな種類や機能があり、価格やサポート内容も製品ごとに異なります。
ここでは、最適なシステムを選ぶための4つのポイントを整理します。
- 自社の人事評価制度・業務フローとマッチするか
- 導入コスト・運用コストが予算に収まるか
- クラウド型・オンプレミス型など、運用形態が自社に合っているか
- サポート体制は整っているか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自社の人事評価制度・業務フローとマッチするか
人事評価システムを選ぶうえで重要なのは、自社の制度や業務フローと合うかどうかです。
どれほど高機能なシステムであっても、自社の評価基準や運用手順に合わなければ、現場に定着せず形だけの運用になってしまいます。
たとえば、OKRやMBO、360度評価など、評価の軸によって必要な機能は異なります。
導入前に、自社の評価制度と運用フローを整理し、それらをシステムで無理なく再現できるかを確認しましょう。
導入コスト・運用コストが予算に収まるか
人事評価システムの導入では、コスト全体の把握が欠かせません。
初期費用だけでなく、月額利用料やサポート費用といった運用コストも確認する必要があります。
「費用に見合った価値があるか」という視点で選ぶことが、導入後の後悔を防ぐポイントです。
導入によって、業務がどれだけ効率化されるか、どのような効果が見込めるかも検討しておきましょう。
クラウド型・オンプレミス型など、運用形態が自社に合っているか
人事評価システムには、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。
クラウド型は、インターネット環境があればどこでも利用できるのが特徴です。
アップデートも自動で行われるため、常に最新状態で使えます。
一方、セキュリティ要件が厳しい企業や自治体などでは、社内サーバーで運用するオンプレミス型が選ばれる傾向にあります。
自社のセキュリティ方針や運用体制に合わせて、最適な形を選びましょう。
サポート体制は整っているか
人事評価システムは、導入して終わりではありません。
運用していく中で、つまずく場面や不明点が出てくることもあります。
そのため、サポート体制がどれだけ充実しているかは、システム選定の大きなポイントです。
導入初期には、設定や使い方をサポートしてくれる初期支援があると安心です。
運用開始後も、電話やチャット、メールなどで気軽に相談できるサポート体制が整っていると、現場への定着がよりスムーズになります。
【中小企業におすすめ】人事評価システム5選
ここでは、評価業務の効率化を目指す中小企業におすすめの人事評価システムを厳選しました。
- ヒョーカクラウド
- あしたのクラウドHR
- ジンジャー人事評価
- 人事評価ナビゲーター
- One人事
それぞれ見ていきましょう。
1 ヒョーカクラウド|低コストで導入しやすい!操作性抜群のシンプル設計
「ヒョーカクラウド」は、アナログな評価業務をクラウド化し、目標・進捗・スキルをリアルタイムに可視化できる人事評価システムです。
MBO・コンピテンシー・360度評価、スキルマップ、1on1、アンケートなど、評価に必要な機能が一通りそろっています。
月額1人100円〜という業界屈指の低価格で導入できるにもかかわらず、多機能な点が魅力です。
シンプルで効率的な運用を望む中小企業におすすめです。
2 あしたのクラウドHR|中小企業に特化した設計と手厚い導入支援
「あしたのクラウドHR」は、中小企業の人事評価に特化したクラウド型評価システムです。
導入実績は4,000社を超え、業界シェアNo.1の実績を誇ります。
自社の制度を再現できる高いカスタマイズ性に加え、AIによる目標添削や給与・賞与シミュレーションなど便利な機能を搭載。
人事制度の設計から、専門コンサルタントが伴走するサポート体制も魅力です。
3 ジンジャー人事評価|月額300円〜のコスパ最強クラウド型評価システム
「ジンジャー人事評価」は、1ユーザーあたり月額300円から利用できる、クラウド型人事評価システムです。
評価シートの作成から配布、回収までの評価フローをオンラインでシンプルに完結できます。
1ヶ月間の無料トライアルが用意されているため、導入前に操作性や自社との相性を確認できる点も魅力です。
4 人事評価ナビゲーター|現場目線で設計された中小企業向けシステム
「人事評価ナビゲーター」は、コンサル会社の知見を活かして「本当に必要な機能」だけを厳選した設計が特長です。
月額5,500円からと、中小企業でも無理なく導入できます。
フィードバック用のメモ機能や一次評価の複製機能、自動レポート生成など、人事担当者の負担軽減を考慮した機能も充実しています。
5 One人事|人事評価から労務・給与まで一元管理できるオールインワン型
「One人事」は、人事評価から労務、勤怠、給与、タレントマネジメントまでを「One ID/One UI/One DB」で一元管理できるオールインワン型システムです。
各評評価制度に対応できるテンプレートが豊富で、多様な評価制度を運用できます。
大企業や自治体も含め、累計導入社数は720社以上、ユーザー数は60万人を超えており、サポート体制の信頼性も高い点が魅力です。
【自治体におすすめ】人事評価システム5選
ここでは、情報セキュリティや制度対応を重視しながら、自治体ごとの評価フローに柔軟に対応できる人事評価システムを厳選しました。
- カオナビ
- HRBrain
- TopicsNEO人事評価システム
- ADWORLD人事評価(日立システムズ)
- ヒョーカクラウド
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1 カオナビ|セキュリティ要件の高い自治体も安心
カオナビは、ISMAPに登録された高いセキュリティ基準を満たした「Government Cloud」プランを備えており、自治体も安心のタレントマネジメントシステムです。
群馬県庁、渋谷区役所、魚沼市など多数の自治体で活用されており、自治体アワードでは「人事管理・タレントマネジメント部門」で金賞も受賞しています。
直感的なUIにより、職員の業務負担を軽減できる点も魅力です。
2 HRBrain|寒川町や志摩市など、自治体導入事例が豊富
「HRBrain」は、自治体での導入実績が豊富なクラウド型人事評価システムです。
神奈川県寒川町役場では、8年間見直されなかった評価制度を柔軟に更新可能な運用へと変更しました。
導入後は、直感的な操作で職員からの問い合わせが減ったとのことです。
さらに、経済産業省が「行政との連携実績のあるスタートアップ100選」にHRBrainを選出し、信頼性の高さも証明されています。
現場の業務効率と運用定着を重視した自治体におすすめです。
3 TopicsNEO人事評価システム|自治体特化のサポート体制が充実
「TopicsNEO人事評価システム」は、地方自治体・公共団体向けの評価パッケージです。
50名から3,000名規模までの幅広い団体で導入されており、公的機関の制度構築や運用見直しまで、専門コンサルタントが総合的にサポートします。
評価結果の分析や育成につながるレーダーチャートなどの機能も充実しており、評価の公正性と運用の効率性を両立できる点が強みです。
4 ADWORLD人事評価(日立システムズ)|公共機関向けの機能・運用実績が豊富
「ADWORLD 人事評価システム」は、日立システムズが提供する自治体向けパッケージの1つです。
自治体特有の評価票フォーマットやExcel台帳の取り込みなどにも柔軟に対応できます。
さらに人事給与システムなど、ほかのADWORLDシリーズと連携可能です。
データの二重入力が不要になり、バックオフィス全体の運用効率向上につながります。
5 ヒョーカクラウド|自治体ごとの評価制度に合わせて柔軟に運用できるシステム
「ヒョーカクラウド」は、自治体の評価制度に合わせて柔軟に運用できるクラウド型人事評価システムです。
月額1人100円〜と低コストで導入でき、IT導入補助金にも対応しています。
操作もシンプルで、Excelからの移行もスムーズに行えます。
紙での管理や集計作業を効率化し、担当者の負担を大幅に軽減できる点も魅力の1つです。
人事評価システムのおもな機能
ここでは、人事評価システムに備わっているおもな機能をご紹介します。
- 目標設定・進捗管理
- 評価シート・評価フローのデジタル化
- 360度評価・多面評価
- 人材プロファイル管理
- 評価結果の集計・分析
- フィードバック・1on1支援
- クラウド対応・モバイル対応
それぞれ見ていきましょう。
目標設定・進捗管理
人事評価システムでは、従業員の目標設定から進捗の確認までを一元管理できます。
OKRやSMARTなどの目標管理フレームワークに対応しており、目標の達成度をリアルタイムで可視化する機能も充実。
進捗に応じてアラートやリマインド通知を設定できるため、継続的な成果管理が可能です。
評価シート・評価フローのデジタル化
従来の紙やExcelによる評価シートのやり取りをデジタル化できます。
評価シートの作成・配布・回収・承認までをオンラインで完結でき、業務負担を大幅に削減可能です。
複数段階の承認フローや権限設定にも対応しており、評価プロセスの透明性と正確性を高められます。
360度評価・多面評価
360度評価とは、上司だけでなく、同僚や部下、関係部署など複数の立場から評価を受ける手法です。
人事評価システムでは、評価者の設定や回答依頼、集計までを簡単に行えます。匿名・記名の選択や回答期限の設定も行えるため、安心して利用できます。
人材プロファイル管理
人材プロファイル管理では、従業員のスキル・経験・資格・評価履歴などの情報を一元化して記録できます。
システム上で情報が整理されることで、適材適所の人材配置や育成計画が立てやすくなります。
蓄積されたデータは、後継者選定やキャリア支援にも活用可能です。
評価結果の集計・分析
評価結果の集計・分析機能を活用すれば、個人や部署ごとの評価傾向をリアルタイムで可視化できます。
手作業による集計ミスを防ぎ、迅速で正確なデータ活用が可能です。
グラフやレポート機能により、組織全体のパフォーマンスや課題も把握しやすいのが利点です。
昇進・異動・人材育成などの意思決定にも役立ちます。
フィードバック・1on1支援
人事評価システムには、上司と部下の対話をサポートする「フィードバック機能」や「1on1ミーティング支援機能」が備わっているものもあります。
面談記録の共有やコメント履歴の蓄積によってコミュニケーションの質が向上し、評価への納得感が高まります。
さらに、日々の目標確認や成長支援にもつながり、離職防止にも効果的です。
クラウド対応・モバイル対応
クラウド対応の人事評価システムなら、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。
支店や在宅勤務の従業員ともスムーズに情報を共有でき、評価業務のタイムロスを防ぎます。
また、スマホやタブレットに対応している製品も多く、外出先や移動中の確認・入力も手軽に行えます。
人事評価システムを導入するメリット
ここでは、人事評価システムの導入によって得られる4つの効果を、企業と従業員それぞれの視点から解説します。
<企業側のメリット>
- 業務効率化と人的ミスの削減につながる
- 評価基準が明確になり、組織の透明性が向上する
<従業員側のメリット>
- 納得できる評価でモチベーションが向上する
- 目標が明確になり、キャリア形成につながる
それぞれ見ていきましょう。
【企業側】業務効率化と人的ミスの削減につながる
企業側にとっての大きなメリットは、評価業務の効率化です。
従来の紙やExcelでの運用では、評価シートの配布から集計までに多くの手間と時間がかかっていました。
人事評価システムを導入すれば、これらの作業を自動化でき、担当者の負担を大幅に軽減できます。
集計ミスなどのヒューマンエラーも防げるため、評価結果の正確性が向上します。
空いた時間を戦略的な人材施策に活用することが可能です。
【企業側】評価基準が明確になり、組織の透明性が向上する
人事評価システムを導入することで、評価基準やプロセスを明文化し、全従業員に共有できます。
これにより、何を基準に評価されるのかが明確になり、不透明さや属人的な判断が排除されます。
企業側にとっては、組織全体の公平性や納得感を高めるうえで大きなメリットです。
また、評価ルールが統一されることで、管理職によるばらつきも抑えられます。
従業員の信頼を得ながら、健全な評価文化を築くための土台も整うでしょう。
【従業員側】納得できる評価でモチベーションが向上する
人事評価システムの導入で評価基準やプロセスが明確になり、従業員は「何を期待されているのか」「どのように評価されるのか」を具体的に把握できます。
これにより評価に対する不安や不信感が軽減され、安心して業務に取り組めるようになるでしょう。
また、上司の主観に左右されにくくなることで、「公平に評価されている」という意識が育ちます。
このようしてモチベーションが高まり、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
【従業員側】目標が明確になり、キャリア形成につながる
人事評価システムでは、個々の従業員に対して明確な目標設定が行われるため、日々の業務の方向性がはっきりします。
「何を達成すべきか」が明確になることで、自分の成長に必要なスキルや経験が見えてきます。
また、過去の評価データが蓄積されるため、定期的な振り返りや上司との対話を通じて、キャリアの課題や可能性を把握することも可能です。
導入後に失敗しないためのポイント
ここでは、人事評価システム導入を成功させるために押さえておきたい以下3つのポイントを解説します。
- 導入目的と評価制度の課題を事前に明確にしておく
- 現場の協力を得るための体制を作る
- 運用中にPDCAを回して改善を繰り返す
それぞれ確認してみましょう。
導入目的と評価制度の課題を事前に明確にしておく
人事評価システムを導入する前に、「なぜ導入するのか」「何を改善したいのか」を明確にすることが重要です。
現行の評価制度のどこに課題があるのかを洗い出し、その課題を解決できる機能が搭載されているシステムを選ぶことで、導入後のミスマッチを防げます。
また、評価制度そのものがあいまいな状態でシステムだけを導入しても、運用がうまくいかないケースが多いため、制度の整備とシステムの選定は同時に進めましょう。
現場の協力を得るための体制を作る
人事評価システムの導入を成功させるには、現場の理解と協力が欠かせません。
現場の負担が増えると思われてしまうと、形だけの導入となり、十分に活用されなくなる可能性があります。
導入前に「何のために使うのか」「どのようなメリットがあるのか」を丁寧に説明し、不安や疑問を解消することが重要です。
また、導入後もフォロー体制を整えておくことで、スムーズな定着につながります。
運用中にPDCAを回して改善を繰り返す
人事評価システムは、導入して終わりではありません。
運用を始めてからも、「評価フローは適切か」「現場で使いやすいか」などを定期的に見直すことが大切です。
評価の目的と現場の実態にズレがあれば、その都度改善を重ねていく必要があります。
PDCAサイクルを継続的に回し、制度の定着と質の向上を図りましょう。
人事評価システムの費用を抑えるコツ
ここでは、コストを抑えつつ人事評価システムを導入・運用するための、3つの具体的な工夫をご紹介します。
- 必要最低限の機能が備わっているシステムを導入する
- 無料のデモや無料プランで試してから導入する
- 補助金・助成金を活用して導入コストを軽減する
それぞれ見ていきましょう。
必要最低限の機能が備わっているシステムを導入する
人事評価システムを導入する際は、「必要な機能が過不足なく備わっているか」を見極めることが大切です。
多機能なシステムは魅力的に見えますが、自社で使いこなせない機能にまでコストをかけるのは非効率です。
たとえば、目標管理・評価シート作成・集計機能といった、業務に直結する基本機能が備わっていれば十分な場合もあります。
まずは自社の運用に必要な機能を明確にし、無駄のないシステム選定を心がけましょう。
無料のデモや無料プランで試してから導入する
人事評価システムを選ぶ際は、無料のデモやトライアルプランを活用して試しましょう。
実際に操作してみることで、UIの使いやすさや機能の充実度、現場との相性などを具体的に確認できます。
とくに、評価フローや入力画面が直感的に操作できるかどうかは重要なポイントです。
導入後のミスマッチを防ぐためにも、複数の候補を試したうえで最適なシステムを選びましょう。
補助金・助成金を活用して導入コストを軽減する
人事評価システムの導入には、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用する方法もあります。
たとえば「IT導入補助金」や「業務改善助成金」などが代表的です。
これらを活用すれば、初期費用やシステム利用料の一部を補助できるため、予算に余裕のない企業でも導入しやすくなります。
申請には一定の条件や手続きが必要なため、事前に情報を集めて制度を活用し、賢くコストを抑えましょう。
自社に最適な人事評価システムを導入しよう
人事評価システムは、単なる評価業務の効率化にとどまらず、組織作りや人材育成にも役立ちます。
導入の目的や自社の評価制度との相性を明確にし、運用体制を整えることで、その効果を最大限に発揮できるでしょう。
「ヒョーカクラウド」は、コストを抑えながらも必要な機能を備えた評価システムとして、中小企業や自治体から高く評価されています。
無料デモやIT導入補助金にも対応しているため、導入のハードルを下げたい企業はぜひ検討してみてください。

監修者情報
山本 直司(やまもと ただし)
株式会社シーグリーンHR事業部
評価制度構築チームマネジャー
これまでに100社以上の評価制度構築・見直しを担当し、特に100名以下の中小企業に適したシンプルで効果的な仕組みづくりを強みとしています。
構築にとどまらず運用支援まで一貫して行い、導入企業の9割以上が継続的に活用している実績があります。
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この資料で分かること
- 今、人事評価制度を作る必要性
- 人事評価制度 タイプ別メリット・デメリット
- 評価項目サンプル