「また人事評価の時期が来た…」
「評価シートの回収だけで何日もかかる」
「Excelの集計ミスがないか、最後まで不安が残る」
従業員100名以下の企業では、人事評価の集計業務にこのような悩みを抱えているケースが少なくありません。
特に、専任の人事担当者がいない会社では、総務・経理・管理部門・役員などが通常業務と兼務しながら評価業務を進めていることも多いでしょう。評価シートの配布、回収、催促、集計、給与・賞与への反映準備までを手作業で行っていると、担当者の負担は一気に大きくなります。
人事評価の集計が大変になる原因は、単にExcelを使っているからだけではありません。評価シートの回収方法、進捗管理、評価項目の多さ、承認フローなど、複数の作業が評価時期に集中することで、担当者の負担が増えていきます。
この記事では、100名以下の企業に向けて、人事評価の集計が大変になる原因と、まず見直すべき3つのポイントをわかりやすく解説します。
目次
人事評価の集計業務で発生する作業

人事評価の集計業務は、単に点数を合計するだけではありません。評価が始まる前から評価結果を確定するまで、多くの作業が発生します。
| 作業 | 担当者の負担が大きくなる理由 |
| 評価シートの配布 | 評価者・被評価者ごとにファイルを分ける必要がある |
| 評価シートの回収 | メール添付や紙で回収すると、提出状況の確認に手間がかかる |
| 未提出者への催促 | 誰が未提出なのかを手作業で確認しなければならない |
| 記入漏れの確認 | 点数漏れ、コメント漏れ、評価者の入力忘れを確認する必要がある |
| 点数の集計 | 複数ファイルから転記するため、コピー漏れや計算ミスが起きやすい |
| 最終評価の確定 | 昇給・賞与に使う場合、確認作業の責任が重くなる |
| 過去データの確認 | 前回評価や異動前の評価を探すのに時間がかかる |
従業員が30名、50名、80名と増えていくと、評価者の数も増え、評価シートの種類も増えやすくなります。その結果、Excelで何とか回していた運用が、急に限界を迎えることがあります。
人事評価の集計が大変になる5つの原因
原因1:評価シートをメールや紙で回収している
評価シートをExcelで作成し、メール添付や紙で回収している場合、担当者は提出状況を一つずつ確認しなければなりません。
たとえば、次のような作業が発生します。
- 評価者ごとに評価シートを送る
- 提出されたファイルを保存する
- ファイル名を整理する
- 未提出者を確認する
- 提出期限が近づいたら催促する
- 古いファイルや修正版が混ざっていないか確認する
「最新版がどれかわからない」
「評価者が古いファイルに入力していた」
「メールの添付ファイルを探すだけで時間がかかる」
このような状態になると、集計作業に入る前の段階で大きな負担が発生します。
原因2:進捗管理が担当者任せになっている
人事評価では、被評価者の自己評価、一次評価者の評価、二次評価者の確認、最終承認など、複数のステップが発生することがあります。
しかし、Excelや紙で運用している場合、誰がどこまで完了しているのかをリアルタイムで把握しにくくなります。
その結果、担当者は次のような確認作業に追われます。
- 誰が自己評価を提出していないのか確認する
- どの評価者の入力が止まっているのか確認する
- 一次評価まで終わっているか確認する
- 二次評価や最終承認が済んでいるか確認する
- 締切前に個別でリマインドする
進捗管理が担当者の記憶や手元の管理表に依存していると、確認漏れが起きやすくなります。総務や経理と兼務している担当者にとっては、通常業務を進めながら評価の進捗まで追いかけることになり、大きな負担になります。
原因3:Excelの転記・集計作業が多い
Excelは便利なツールですが、人事評価の集計では注意が必要です。
評価者ごと、部署ごと、職種ごとにファイルが分かれている場合、最終的な集計表にデータを転記する作業が発生します。この転記作業が増えるほど、ミスのリスクも高くなります。
よくあるミスは次の通りです。
- 点数をコピーする範囲を間違える
- 別の従業員の行に貼り付けてしまう
- 関数が壊れていることに気づかない
- 評価項目の追加や削除に集計表が対応していない
- 修正版ファイルの内容が反映されていない
- 最終評価と集計結果が一致していない
評価結果を昇給や賞与に使う場合、集計ミスは大きな問題につながります。処遇に関わる重要なデータだからこそ、担当者は何度も確認を行う必要があります。
人事評価シートをExcelで運用している場合は、テンプレートや評価項目の作り方を見直すだけでも、集計しやすくなることがあります。Excelでの運用を続ける前提で整理したい方は、
も参考にしてください。
原因4:評価項目や自由記述が多すぎる
人事評価の集計が大変な会社では、評価制度そのものが複雑になっていることもあります。
たとえば、次のような状態です。
- 評価項目が多すぎる
- 似たような評価項目が複数ある
- 自由記述欄が多い
- 評価基準があいまいで確認に時間がかかる
- 部署ごとに評価シートの形式が違う
- 評価点の計算方法が複雑
評価項目が多いほど、入力する側も確認する側も大変になります。自由記述が多い評価シートは、評価者の文章量に差が出やすく、内容確認にも時間がかかります。
100名以下の企業では、細かく作り込みすぎるよりも、誰が見てもわかりやすく、毎回きちんと運用できる評価項目に整理することが大切です。
原因5:過去データを探しにくい
人事評価は、今回の評価だけで完結するものではありません。
前回と比べて成長しているか、評価の傾向に偏りがないか、部署異動後に評価がどう変わったかなど、過去データを確認したい場面があります。
しかし、Excelファイルで年度ごと、部署ごと、評価者ごとに管理していると、過去の評価データを探すだけでも時間がかかります。
たとえば、次のような問題が起こります。
- 過去の評価ファイルの保存場所がわからない
- 異動前の部署フォルダを探す必要がある
- ファイル名のルールが統一されていない
- 前回評価と今回評価を並べて確認しにくい
- 退職者や異動者のデータ整理が追いつかない
評価データは、集計して終わりではなく、人材育成や面談に活かしてこそ意味があります。過去データをすぐ確認できない状態では、せっかく集めた評価結果を十分に活用できません。
Excelで人事評価を集計する主なリスク
Excelでの人事評価集計は、手軽に始められる一方で、人数が増えるほどリスクが大きくなります。
| リスク | 具体的に起こりやすいこと |
| 転記ミス | 評価点を別の従業員に貼り付ける、修正版を反映し忘れる |
| 計算ミス | 関数の範囲ミス、評価項目の追加による計算ずれ |
| 最新版の混乱 | 複数のファイルが存在し、どれが最終版かわからなくなる |
| 進捗確認の遅れ | 未提出者や未承認者の確認に時間がかかる |
| 情報管理の不安 | メール誤送信、ファイル紛失、閲覧権限の管理漏れ |
| 属人化 | 特定の担当者しか集計方法を理解していない |
| 過去データの活用不足 | 評価履歴を育成や面談に活かしにくい |
Excelは悪いツールではありません。少人数でシンプルな評価制度を運用するには便利です。ただし、人事評価は個人情報や処遇に関わる重要な業務です。従業員数や評価者が増え、評価結果を昇給・賞与に使うようになると、Excelだけで安全に運用し続けることが難しくなります。
100名以下の企業が見直すべき3つのこと

人事評価の集計業務を効率化するには、いきなり大がかりな制度変更を行う必要はありません。まずは、負担が大きくなっている部分を整理し、次の3つを見直すことが重要です。
見直し1:評価シートの回収・進捗管理を一元化する
最初に見直したいのは、評価シートの回収方法と進捗管理です。
評価シートをメールや紙でやり取りしている場合、担当者の手元で管理しなければならない情報が増えすぎます。
見直しのポイントは次の通りです。
- 評価シートの提出先を統一する
- ファイル名のルールを決める
- 提出状況を一覧で確認できるようにする
- 自己評価、一次評価、二次評価の進捗を分けて管理する
- 未提出者へのリマインド方法を決める
- 評価期間ごとの保存場所を統一する
まずは、「誰が、どこまで、いつまでに完了すべきか」を見えるようにすることが大切です。進捗が見えるだけでも、担当者の確認作業は大きく減ります。
見直し2:集計・転記作業を減らす
次に見直すべきなのは、集計や転記の作業です。
人事評価の集計が大変な会社では、複数の評価シートから手作業で点数を転記していることが多くあります。
転記作業を減らすには、次のような工夫が有効です。
- 評価シートの形式をできるだけ統一する
- 評価項目の順番をそろえる
- 集計用の列や項目名を固定する
- 不要な自由記述欄を減らす
- 最終評価に使う点数と確認用の点数を分ける
- 部署別・評価者別に集計しやすい形に整える
Excelを使い続ける場合でも、評価シートの形式を統一するだけで集計はかなり楽になります。反対に、部署や職種ごとに評価シートの形式がバラバラだと、どれだけ丁寧に管理しても集計作業は複雑になります。
見直し3:評価項目とフローをシンプルにする
人事評価の集計を効率化するうえで、意外と見落とされやすいのが評価制度そのものの見直しです。
評価項目が多すぎる、承認フローが複雑すぎる、計算方法がわかりにくい。このような状態では、システムを導入しても運用が重くなる可能性があります。
100名以下の企業では、次のような考え方が大切です。
- 評価項目は本当に必要なものに絞る
- 似た評価項目は統合する
- 自由記述欄は目的を明確にする
- 評価者が迷いやすい項目は表現を見直す
- 承認フローを複雑にしすぎない
- 昇給・賞与に使う点数の計算方法をわかりやすくする
人事評価制度は、細かければ良いというものではありません。現場が迷わず入力でき、評価者が無理なく確認でき、担当者が正確に集計できることが重要です。
Excelのままでもよい会社と、システム化を検討すべき会社

人事評価の集計が大変だからといって、すべての会社がすぐにシステムを導入すべきとは限りません。会社の規模や評価制度の複雑さによっては、Excelで十分に運用できる場合もあります。
| Excelでも対応しやすい会社 | システム化を検討した方がよい会社 |
| 従業員数が20名程度まで | 従業員数が30名から50名を超えてきた |
| 評価者が少ない | 評価者が複数名いて進捗確認が必要 |
| 評価シートが1種類でシンプル | 部署や職種ごとに評価シートが違う |
| 評価結果を大きく処遇に反映していない | 昇給・賞与・等級に評価結果を使っている |
| 集計担当者が固定されている | 担当者が変わると集計方法がわからなくなる |
| 提出状況の確認にあまり時間がかからない | 未提出者への催促や確認に毎回時間がかかる |
目安として、従業員数が20名程度で、評価項目も少なく、評価者も限られている場合は、Excelでも運用できることがあります。
一方で、30名から50名を超えたあたりから、評価者や部署が増え、集計作業が急に複雑になる会社も多くなります。80名から100名規模になると、給与・賞与に反映する前の確認作業だけでも大きな負担になります。
なお、集計業務だけでなく、小規模企業に合う人事評価システムの種類や選び方を比較したい場合は、
も参考にしてください。
人事評価システムを選ぶときのポイント
人事評価の集計業務を効率化するためにシステムを導入する場合、単に機能が多いものを選べばよいわけではありません。
特に100名以下の企業では、機能の多さよりも、今の運用に合うか、現場が迷わず使えるか、担当者の負担が本当に減るかが重要です。
| 確認すべきポイント | 見るべき内容 |
| 現在の評価シートを活かせるか | 今使っている評価項目や運用を大きく変えずに始められるか |
| 入力画面がわかりやすいか | 評価者や従業員が迷わず使えるか |
| 進捗管理がしやすいか | 誰が未提出か、どこで止まっているかを一覧で確認できるか |
| 集計が自動化できるか | 点数の集計や一覧出力に手作業が残りすぎないか |
| データを出力できるか | ExcelやCSVで出力し、給与計算や社内資料に活用できるか |
| 権限管理ができるか | 評価データを見られる人、編集できる人を分けられるか |
| 導入後のサポートがあるか | 初期設定や運用開始時に相談できる体制があるか |
人事評価システムは、導入して終わりではありません。毎回の評価運用で使い続けるものです。そのため、現場にとってわかりやすく、管理者にとって集計しやすい仕組みであることが大切です。
ヒョーカクラウドでは、紙やExcelで行っていた人事評価をクラウド上で管理し、評価入力・進捗確認・集計を一元化できます。詳しい機能や運用イメージを確認したい方は、
ヒョーカクラウドの機能を確認するをご覧ください。
人事評価の集計を楽にするためのチェックリスト

現在の評価運用に課題があるかを確認するために、以下の項目をチェックしてみてください。
| チェック項目 | 該当する場合の注意点 |
| 評価シートをメールで回収している | 最新版の管理や未提出者の確認に手間がかかりやすい |
| 評価者ごとにExcelファイルが分かれている | 転記ミスや集計漏れが起きやすい |
| 提出状況を手作業で管理している | 催促や確認が担当者に集中しやすい |
| 評価項目が多く、入力に時間がかかる | 評価者・被評価者の負担が大きくなりやすい |
| 自由記述欄が多い | 内容確認に時間がかかり、評価者ごとの差も出やすい |
| 集計表の関数が複雑になっている | 関数の破損や計算ミスに気づきにくい |
| 評価結果を昇給・賞与に使っている | 集計ミスの影響が大きく、確認作業が重くなる |
| 過去の評価データを探すのに時間がかかる | 評価履歴を育成や面談に活かしにくい |
複数の項目に当てはまる場合は、評価制度や集計方法を見直すタイミングかもしれません。まずは評価シートの回収方法、進捗管理、集計作業、評価項目数の4つを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. 人事評価の集計は何人くらいから大変になりますか?
A. 会社の評価制度や評価者の人数によって異なりますが、30名から50名を超えると負担が増えやすくなります。従業員数が増えると、評価者の人数、評価シートの数、確認すべき項目も増えるためです。
Q. Excelで人事評価を続けるのはダメですか?
A. ダメではありません。少人数で評価項目がシンプルな会社であれば、Excelでも十分に運用できる場合があります。ただし、評価者が増えている、未提出者の確認に時間がかかっている、転記ミスが起きている場合は、運用の見直しを検討した方がよいでしょう。
Q. 人事評価システムを入れれば、集計業務はすべて解決しますか?
A. 多くの作業は効率化できますが、評価制度そのものが複雑すぎる場合は注意が必要です。評価項目が多すぎる、承認フローが複雑すぎる、評価基準があいまいなままだと、システムを導入しても現場の負担が残ることがあります。
Q. 100名以下の企業でも人事評価システムは必要ですか?
A. 必ず必要というわけではありません。ただし、専任の人事担当者がいない会社ほど、システム化による効果を感じやすい場合があります。総務や経理、管理部門が兼務で評価業務を担当している場合、評価シートの回収や集計に時間を取られると、通常業務にも影響が出ます。
Q. 人事評価の集計を楽にするために、まず何から始めればよいですか?
A. まずは、現在の評価業務を作業ごとに分けて確認することです。評価シートの配布、回収、進捗確認、記入漏れ確認、点数集計、最終確認、過去データ管理に分けて、どこに一番時間がかかっているかを整理しましょう。
まとめ:人事評価の集計が大変な会社は、Excelだけでなく運用全体を見直そう
人事評価の集計が大変になる原因は、Excelを使っていることだけではありません。
評価シートの回収方法、進捗管理、評価項目の多さ、転記作業、承認フロー、過去データの管理など、複数の作業が重なることで担当者の負担が大きくなります。
特に100名以下の企業では、専任の人事担当者がいないまま評価業務を進めていることも多く、評価時期になると通常業務を圧迫しやすくなります。
まず見直すべきポイントは、次の3つです。
- 評価シートの回収・進捗管理を一元化する
- 集計・転記作業を減らす
- 評価項目と評価フローをシンプルにする
Excelで対応できる範囲であれば、評価シートの形式統一や進捗管理表の整備から始めてもよいでしょう。
一方で、従業員数が増えている、評価者が複数いる、評価結果を昇給・賞与に使っている、集計ミスや確認作業に不安がある場合は、人事評価システムの導入も有効な選択肢です。
人事評価は、集計して終わりではありません。評価結果をもとに、社員の成長支援や組織改善につなげていくことが本来の目的です。集計業務に追われている状態を見直し、担当者も評価者も無理なく続けられる評価運用を整えていきましょう。
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山本 直司(やまもと ただし)
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これまでに100社以上の評価制度構築・見直しを担当し、特に100名以下の中小企業に適したシンプルで効果的な仕組みづくりを強みとしています。
構築にとどまらず運用支援まで一貫して行い、導入企業の9割以上が継続的に活用している実績があります。
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