少子高齢化による人手不足で、介護施設の閉鎖問題が深刻化しています。
「うちは大丈夫」と思っていても、今や対岸の火事では済まない状況だといえます。
そこで当記事では、介護施設の閉鎖問題が深刻化する理由をはじめ、危険なNG行動のチェックリスト・対策方法などを紹介します。
目次
人手不足と介護業界の現状
介護業界での人手不足は日増しに深刻な問題となっています。高齢化社会が進む中で、需要は増大しているにもかかわらず、供給側の人員が足りないからです。
実際に、人手不足による「運営上のなんらかの問題」を抱えている施設・機関も多いでしょう。
人手不足に関するデータを紹介
人手不足の深刻化によって、介護施設の閉鎖が過去最多となっています。
東京商工リサーチの調査によると、以下データのように2022年時点の閉鎖件数が「過去最多」です。
参照元：株式会社東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197306_1527.html
介護業界は少子高齢化によって、今後も利用したい人が増える見通しです。需要が高いにもかかわらず介護施設が閉鎖すれば、多くの施設で「利用を希望する待機者」が増えるでしょう。
このような状況が長期化すると、結果として介護の質が下がり、利用者、家族、そして働く側にも多大な負担と不安が生まれます。
人手不足で介護施設が閉鎖に追い込まれる流れ
人手が不足すれば、1人のスタッフに対する業務量が多くなるでしょう。またスタッフは通常業務に日々追われるため、新人への教育や業務改善といったレベルまで話ができません。
職場環境が悪化すると、モチベーション低下につながり、離職者が増えるでしょう。とくに小規模な施設では財政的に厳しいため、スタッフの給与アップや教育への投資もむずかしいといえます。
業務量が多くなったにもかかわらず、労働環境や給与状況も改善されなければ、辞めたいスタッフを引き留めることもできません。また条件のよくない施設では、新たなスタッフもなかなか採用できないでしょう。
やがて最低限のサービスも提供できなくなると、介護施設は閉鎖に追い込まれてしまいます。
当てはまったら要注意！NG行動チェックリスト
少子高齢化問題が「介護業界の人手不足」に拍車をかけているものの、人手不足の要因はそれだけではありません。
既存スタッフが働きにくい環境も、人手不足に影響を与えます。
そのため、人手不足で悩む介護業界では「働きやすい環境づくり」への意識も重要です。以下は「職場環境の状況」をチェックできるリストです。当てはまる項目が多いほど、人手不足に陥りやすい職場だと言えます。
「NG行動をおこなっていないか？」について、チェック☑してみましょう。
| □明確な評価基準がない | 評価内容が不明確だと、スタッフのモチベーションは下がります。 |
| □労働時間が不規則 | 長時間労働や休日出勤が多いと、日々の疲れがとれずマイナスな気持ちが生じがちです。 |
| □コミュニケーション不足 | スタッフ同士のコミュニケーションが少ないと、属人性が高まり情報共有がうまくいきません。 |
| □報酬が不透明 | 昇給やボーナスの基準が不透明だと、不満が募ります。 |
| □業務に多様性がない | 常に同じ仕事ばかりだとマンネリ化します。キャリアパスも見えず、やりがいが出ません。 |
| □スキルを活かせていない | スタッフの強みを活かせていない職場は、働きがいを感じにくいでしょう。 |
| □フィードバックの欠如 | 良いパフォーマンスへのフィードバックがないと、次への動機づけにつながりません。 |
上述のNG行動は、経営者やマネジメント層がしっかりと意識して改善に取り組む必要があります。
少子高齢化による人手不足問題と並行して、従業員のモチベーションを高めることが、施設閉鎖といった最悪の事態を防ぎ介護業界全体の質を高める鍵となるでしょう。
人手不足問題を解消するカギは人事評価制度
介護業界の人手不足は今後も続く問題であり、解決策として一つ注目されるのが、効果的な人事評価制度の導入です。
そもそも人事評価制度とは？
人事評価制度とは、従業員の頑張りや結果を適切に評価し、給与などに反映する仕組みです。日々の努力といった定性的な内容も、人事評価制度を導入すれば明確に評価できます。
また人事評価制度は「企業や組織が考える理想のスタッフ像」とリンクするため、制度の導入によって、企業や組織が望む方向に発展しやすくなります。
介護業界の人手不足に対する「人事評価制度のメリット」とは？
人事評価制度の導入は、従業員が自分自身の働きや成果に対する評価を明確にする手段となります。これにより、以下のような多くのポジティブな影響が期待できるでしょう。
モチベーション向上による離職率低下
モチベーションと離職率は連動する傾向にあります。モチベーションが高ければ「この職場で頑張りたい」と思う気持ちが強くなり、離職率が低下します。一方でモチベーションが低ければ「タイミングが合えば辞めたい」と考えるため、離職者が増えるでしょう。
人事評価システムの導入は、従業員のモチベーション向上に貢献します。なぜなら、目標設定やフィードバックを通じて、スタッフ一人ひとりが自分の成長と会社への貢献を明確に理解することが可能だからです。
人事評価制度の導入・整備によってスタッフの離職率が低下すれば、人の流出を抑制できるため、人手不足緩和につながるでしょう。
業務の効率化
人事評価制度を導入すると、以下のような内容が明確になります。
- スタッフの現状および課題
- 各スタッフの得意／不得意
配置しているポジションがスタッフの不得意分野であれば、得意分野に配置換えすることで、業務の生産性があがる可能性があります。
またスタッフの解決すべき課題が見えるため、課題に焦点をあてた教育を実施すれば、以前よりも作業スピードがあがるでしょう。
また人事評価制度の導入によって、公平な評価が実現すれば、組織への帰属意識が芽生えます。帰属意識が芽生えると、決められたことだけでなく、主体的な動きをする人も増えるでしょう。
主体的に動ける人が集まれば、チーム全体の生産効率がアップします。
人手不足であっても、1人の人が多くの仕事をこなせるようになれば、組織内における人手不足問題の緩和につながるでしょう。
職場環境改善による採用率アップ
先述のように、人事評価制度の導入によって「各自のモチベーションアップ」「業務効率化」「離職率低下」が実現すれば、職場環境の改善につながります。
モチベーションアップで前向きな人が増えれば、職場の人間関係も良好になる傾向にあります。また業務効率化や離職率低下がかなえば、組織全体の残業時間の低下にも直結するでしょう。
職場環境改善をアピールすれば、応募者の増加が見込まれます。
また実際に応募者が面接や職場見学に来た際に、明るい雰囲気の職場を見ることで「入職したい気持ち」も芽生えやすくなります。
人事評価制度の導入時に「評価システム」を選ぶべき理由
人事評価制度を導入する際に、Excel管理など「組織内での完結」といった方法もアリでしょう。
しかし介護業界で人事評価制度を実施する際には、「評価システム」の活用がオススメです。なぜなら、ただでさえ人手不足のなか、自社内でのExcel管理などでは担当者の負担をまた評価を誤ると、組織への信用問題に発展し、離職につながりかねません。システム化された人事評価制度であれば、増やしてしまうからです。
ミスを極力減らせるため、正確な評価の実施が可能です。
介護業界で人事評価システムを選ぶポイント
介護業界で人事評価システムを選ぶ際には、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。
操作が簡単である
介護の現場は非常に忙しいため、使い勝手の良いシステムを選ぶことが必須です。研修時間を最小限に抑えられるような直感的なインターフェースが求められます。
万が一操作面で迷った際にも、サポート体制がしっかりしたシステムを選べば、すぐに操作方法を教えてもらえるでしょう。
時代や環境の変化に対応できる
介護業界は多様なニーズと状況に対応する必要があります。評価項目や報酬体系も一概には決められないため、カスタマイズ可能なシステムが有用です。
また、介護業界における評価システムの導入実績がある製品を選ぶと、安心して利用できるでしょう。
コミュニケーション促進機能をもつ
介護業界では、スタッフ同士のチームワークが重要です。なぜなら、介護のスタッフだけでなく、医師・看護師・社会福祉士・栄養士など、多くのスタッフとのチームケアが基本だからです。
そのため、評価制度において「フィードバック」や「コミュニケーションを促進する機能」があると望ましいでしょう。
予算に応じた選定
介護業界では、組織全体の予算が限られている場合も多いです。どれだけ良い機能を備えていたとしても、予算オーバーであれば手を出せません。そのため、予算に応じて選定しましょう。同時に、コストパフォーマンスに優れたシステム選びが重要です。
セキュリティ面がしっかりしている
介護業界では、利用者のプライバシーに関する個人情報を扱います。評価システム内に利用者の住所などは入力しないものの、評価する際に「利用者について言及」するケースもあるでしょう。そのため、セキュリティ面がしっかりしたシステムを選ぶ必要があります。
まとめ
人事評価システムの導入は、介護業界の人手不足による閉鎖問題に対し有効な解決策となりえます。なぜなら、適切な評価は離職率を低下させるからです。また評価制度によってスタッフのモチベーションアップが実現すれば、限られた人数のなかでも【最高のパフォーマンス】を発揮できます。
人事評価システムを選ぶ際には、操作性・柔軟性・コストなどはもとより、介護業界の実績をもつシステムを選ぶことが大切です。
【評価ポイント】は介護業界でも好評の評価システムです。ポイント制の評価システムなため、一般的な評価システムよりも導入が簡単です。またスタッフ同士でポイントを付与し称賛できる機能もあり、スタッフ間のコミュニケーション活性化にも役立ちます。
詳しい内容はこちらをご確認ください。
【令和版】評価制度の作り方
簡単スキルマップガイド
1on1パーフェクトガイド
【全業種】評価項目サンプル