人事評価制度をうまく軌道にのせたい場合には、人事評価制度の成功事例をチェックすると良いでしょう。
成功事例を見ることで、参考にすべきポイントや、自社に取り入れたい要素などがイメージしやすくなります。
当記事では、人事評価制度における実際の成功事例を7つ紹介し、成功事例から見るポイントや人事評価制度の動向などを解説します。
人事評価制度の成功事例として7社を紹介!
まずは人事評価制度の成功事例として、7社を紹介します。
株式会社メルカリ【バリュー評価・ピアボーナス】
フリマアプリで有名な株式会社メルカリは、世界中の人をモノの売買でつなげることで、資源の循環による豊かな社会作りを目指しています。
同社では人事評価制度のトレンドを他社に先駆けて取り入れ、常に制度のアップデートを目指している点が特徴です。
2018年1月~2021年1月までは「ノーレイティング」と「絶対評価」による人事制度を導入していました。その後、2021年2月に人事制度を大幅に変更し、バリュー評価を行なうためにピアボーナスを取り入れ、リアルタイムでの個人への評価を実現しています。
その結果、企業の方向性が浸透しやすくなり、社員の主体的な行動が目立つようになりました。
GMOインターネット株式会社【360度評価】
GMOインターネット株式会社は、インターネット関連事業を行なっている「東証プライム上場企業」です。
人事評価制度では360度評価の導入を実施し、目標の達成度合いによって給与が決定します。
また同社では、社内のさまざまな部分を可視化している点が特徴です。社員の給与額やランクもオープンであるため、一般的な企業では見えない部分が丸見えだと言えます。
360度評価を実施し「オープン化」した結果、評価の公平性への納得感や、給与額・ランクを知られていることへの責任感などが生じ、モチベーションの高い社員が増えました。
カルビー株式会社【ノーレイティング】
カルビー株式会社は、多くの人が知っている老舗の菓子メーカーです。
以前は「職能資格制度」と「スキル評価制度」による昇給・昇格制度を取り入れていたものの、2012年から人事評価制度にノーレイティングを導入しました。
背景には、成果主義へのシフトが挙げられます。
独自の目標管理である「コミットメント&アカウンタビリティ」を通じ、1on1による上司と部下との対話も強化しました。年初にたてた目標と成果によって賞与額が大幅に変わり、昇給・昇給に影響するケースも見られます。
成果主義へのシフトによって、残業が減ったことに加え、出産後の退職も大幅に減りました。会社の利益率も5年で10倍に変化したことも特徴的です。
株式会社ディー・エヌ・エー【360度評価】
株式会社ディー・エヌ・エーは、モバイルゲームの開発・配信などを手掛けるインターネット関連企業です。
同社では、人事評価を半期に一度のスパンで実施しています。査定は成果と成長度合いの双方から決め、結果を基本給に反映する点が特徴です。
またマネージャー層に向けて、実名で360度評価を実施する点も特徴的だと言えます。
360度評価は無記名での実施が基本です。実名で実施するのは、マネージャーと部下の「信頼関係の構築」を期待する背景があるからです。
業績を基本給に採用したり、透明度のある360度評価を実施することで、信頼性とモチベーションが高まるケースも多く見られました。
チャットワーク株式会社【バリュー評価】
チャットワークは、クラウド型のビジネスチャットツールを開発・運営する企業です。
社員が50~60名に達した頃をさかいに、個人の状況が見えにくくなったため、人事評価制度にOKRを取り入れました。しかし、実際に運用をしてみると、保守的な目標設定をするなどの問題が生じました。
そのため2018年から、「OKRを通じてどれだけ意欲的に挑戦したか?」という評価体制にシフトします。
新たな評価体制の導入後には、社員が挑戦的な目標を掲げるようになり、モチベーションが高い人も増えました。また評価を通じて、会社の方向性を社員に周知することにも成功しています。
アドビシステムズ株式会社【ノーレイティング】
アドビシステムズ株式会社は、グラフィックデザインソフトウェアを開発し、多くのビジネスパーソンやクリエイターに支持されている企業です。
過去には、上司が部下のランクを付ける人事評価制度を実施していたものの、納得感が得られず不評でした。
そこで2012年に、「チェックイン」という社員の成長を評価する人事制度にシフトしました。以前はランクありの制度だったものの、ランクなしの「ノーレイティング」を実施した結果、社員の満足度が劇的にアップし、会社への信頼度もあがりました。
Sansan株式会社【ピアボーナス】
Sansan株式会社は、法人および個人向けに「名刺管理サービス」を提供する企業です。
同社では、従来より「ピアボーナス」を活用していました。しかし、ボーナスを贈った人と受け取った人が、双方にしか分からないという点が問題でした。
そこで、オープンな空間でボーナスを渡しあえる「新・ピアボーナス」を導入することにします。
その結果、現場の様子を第三者が知れることへの透明感や、周囲からボーナスをもらった事実を知ってもらうことへの承認欲求が高まり、従業員のモチベーションが高くなりました。
成功事例から見る3つのポイント
人事評価制度の成功事例を見ると、共通する3つのポイントが見えてきます。詳細は以下の通りです。
1、「目標管理評価=MBO」だけにとらわれない
1990年代頃から、日本で「目標管理評価=MBO」の導入が相次ぎました。MBOには良い面もあるものの、以下のような問題点も分かっています。
・挑戦して失敗した人より、行動せず失敗しなかった人の評価が高くなりがち
・やさしい目標設定をした人の評価が高くなりがち
・プロセスが評価されにくい
以上のことから、高い目標を設定し挑戦する人が少なくなり、組織の生産性・業績も下がることがあります。
そのため、成功している企業は「目標管理評価=MBO」だけにとらわれず、プラスで他の評価手法などを意識的に取り入れている点が特徴です。
2、企業理念と評価制度がリンクする
成功している企業は、企業の考え方・価値観である企業理念と、評価制度がリンクしています。理由は以下の通りです。
■企業理念と評価制度がリンクする
↓
■評価を通して、企業理念が社内に浸透する
↓
■企業理念を軸とし、各社員が行動できるようになる
↓
■組織自体が強くなる
また企業理念と評価制度をリンクさせるためには、経営者や人事関係者が、企業の理念を踏まえて人事評価制度を策定する必要があります。
3、定期的に人事評価制度を見直している
一度「人事評価制度」を作ったからと言って、安心して終わりではありません。
なぜなら、以下の要素などによって状況は刻一刻と変化しているからです。
・時代の流れ
・ライバル企業の変化
・ビジネスパーソン(自社/他社問わず)の考えが変化
それなのに、同じ人事評価制度を使用し続けて「適切に機能しているか?」と問うと、yesとは言えないでしょう。
人事評価制度を変えることで、パフォーマンスの向上が見られるのは事実です。パフォーマンスの向上は、企業の業績にも関わるため、人事評価の見直しは重要な業務の1つだと言えます。最低でも2年に1度は改訂することをオススメします。
人事評価制度における動向・トレンド
人事評価制度自体は、以下のように変遷をとげてきました。
■年功序列型(1970年頃):終身雇用が主流で、年齢・在籍年数で給与があがる
■職能型(1980年頃):年功序列を基盤とし、保有資格によって給与があがる
■成果型(1990年頃):成果が給与に反映される
■役割型(2000年頃~):成果・プロセス・業務態度などをトータル的に評価する
※令和版の人事評価制度が気になる場合には、以下に評価制度の作り方を解説しているため、併せてチェックしてください。
前述に加え、昨今では以下のような評価手法を取り入れる企業が増えています。
360度評価
360度評価は多面評価とも呼ばれ、評価対象者の上司はもちろん、部下・同僚といった「さまざまな関係者」が評価を実施します。
従来の「上司のみが評価する制度」だと、公平性に欠けやすかったものの、360度評価は公平性が高いことが特徴です。
人材育成や、従業員のモチベーションアップを目的に導入する企業も多く見受けられます。
バリュー評価
バリュー評価では、企業が「バリュー」を設定し、それに対する達成度合いで評価します。「行動評価」や「プロセス評価」と呼ばれることもあり、従来の年功序列とは真逆とも言うべき評価手法だと言えます。
またバリューとは、企業の経営方針に対して、従業員に求める「価値観」や「行動指針」のことです。
バリュー評価でバリューを浸透させ、自発的かつ柔軟に対応できる従業員が育成できることも期待されています。
ノーレイティング
ノーレイティングでは、社員をA・B・Sなどとランク付けせずに評価します。
従来の評価制度は、過去の業績を反映していました。そのため、成績があがっても直近の評価での反映が難しく、従業員のモチベーション低下につながるおそれがあります。
一方ノーレイティングは、ランク付けしない代わりに、リアルタイムでの目標に対してすぐにフィードバックがもらえるため、モチベーションアップに直結します。
ノーレイティングはランクという指標がないことから、適切な評価は上司の腕にかかっている点も特徴です。
ピアボーナス
ピアボーナスとは、peer(=仲間・同僚)と、bonus(=報酬)を組み合わせた言葉であり、従業員が互いにボーナスを贈りあう仕組みです。
上司が部下を評価するのではなく、従業員同士で評価しつつ、インセンティブを贈りあえます。
環境の変化に適応しつつ、新たな企業文化を築きたい企業が、離職防止・人材育成の目的で導入するケースも多く見受けられます。
※ヒョーカクラウド/評価ポイントの導入事例は、こちらからチェックできます。
まとめ
人事評価制度の成功事例を見ると、「目標管理評価=MBO」にとらわれず、企業理念と評価制度がリンクする共通点があります。また、定期的に人事評価制度を見直している点も特徴です。
人事評価システム「ヒョーカクラウド」を活用すると、成功事例に共通する点を、運用面はもちろん準備の段階からサポートできます。
また昨今における人事評価制度の動向・トレンドとして、360度評価・バリュー評価・ノーレイティング・ピアボーナスを取り入れている点も挙げられます。「評価ポイント」を併用することで、こうした動向・トレンドにも対応が可能です。
人事評価制度を適切に機能させたい場合には、ITトレンド人事評価システムで「4年連続No.1」に選ばれたヒョーカクラウド・評価ポイントを是非お試しください。
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【令和版】評価制度の作り方
この資料で分かること
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