部下の成長を促すための効果的な方法を探している方に向けて、1on1面談について解説いたします。
日々の業務を円滑にしたり、部下の成長を促すために採用されることがある1on1面談。
しかし部下にとって面倒に感じられたり、効果が薄い、意味がないと捉えられたりする場合もあります。
そこで今回の記事では、効果を実感でき、部下にとっても有益な1on1面談のポイントについて解説します。
参考にしていただければ、部下が積極的に参加してくれる1on1面談が叶うかもしれません。
目次
1on1とは
1on1は、1on1ミーティングの略で、管理職(上司)が部下の育成を目的として行う面談のことです。
「面談」といっても、通常の個人面談とは異なり、評価をすることを目的としていません。
フランクな雰囲気で、日々の業務での成果や失敗を共有し、部下に気づきを促すことにより能力を引き出すのが1on1の目的です。
短期間で個人の行動目標を立て、フィードバックする場を設けることで、部下の成長機会を創出するとともに、業務改善効果も期待できます。
1on1を導入する場合には、人事異動やキャリアアップの支援など、他の人事制度と組み合わせるとより効果的です。
また、必要とされるスキルを持つマネジメント層が行うことによって、さらに良い効果が期待できます。
1on1を行う頻度は、1週間に1度、もしくは隔週に1度とし、できるだけ回数を増やしましょう。
頻繁に行う場合には、時間を15分位の短さで区切るのがおすすめです。
1on1のメリットと効果
1on1では多彩なメリットと効果が期待できます。
部下とより密接なコミュニケーションを図れる
部下と密接なコミュニケーションを図ることで、悩みや不満などにも迅速かつ適切に対応することができるようになります。
上司と部下の信頼関係が構築され、定着率が向上します。
一人ひとりの個性に合わせた指導や異動を行うことができる
適材適所の基本は、上司の評価だけではなく、部下がどんなキャリアを描いているのか、どんな仕事に対して情熱を持っているのかを知ることです。
1on1を導入することで、部下の適性やキャリアプランを知り、一人一人の個性に合わせた指導を行うことができるようになります。
適材適所は人事の基本ですよね。
一人ひとりの従業員にしっかりと向き合うことで、個性に合わせた指導や異動を行うことができます。
部下の成長機会を創出できる
経験を振り返ることで、部下自信が自分の可能性や適性に気が付くことがあります。
キャリアプランが明確に定まっていなかったり、キャリアに迷いがある部下が、1on1でキャリア開発をするきっかけを得ることも珍しくありません。
業務成績の向上
1on1でフィードバックを行うことで、業務改善や業績向上効果が期待できます。
1on1のデメリット
1on1は単に機会を設ければいいわけではありません。
有意義なものにするためには、部下が話すことにじっくりと耳を傾け、気づきを促すとともに、しっかりと振り返りを行いましょう。
上司にスキルがないと会話が進まない可能性がある
部下の話の腰を折ってしまったり、部下の意見を否定しまうと、会話がそれ以上進まなくなってしまうケースがあります。
1on1を導入する際には、上司に目的とやり方を共有することが重要です。
雑談で終わってしまうことがある
1on1は業務時間内に行う、大切な業務の一環です。
話を円滑に進めるために多少の雑談は仕方ないですが、大部分を雑談で終わらせてしまうのでは意味がありません。
あくまでも「業務成績の向上に寄与するために、アウトプットをする機会である」という意識を、上司・部下双方が共有することが大切です。
雑談で終わってしまうのを防ぐだけではなく、1on1のあり方を考えるためにも、話した内容はメモを取り、社内で共有することもポイントのひとつです。
1on1で大切なポイント
1on1に必要なスキルとポイントをご紹介します。
コーチング
「傾聴」という言葉をご存知でしょうか。
コミュニケーションの手法のひとつで、相手の気持ちを深いレベルで理解し共感する聴きかたです。
相手の気持ちを深く正確に理解するためのポイントは、相手の話の腰を折らず最後まで話を聞くだけでありません。
心を開いて話を聴き、質問をして話を引き出したり、相手の話を繰り返したりし、適切な箇所で相槌を入れることも重要です。
コーチングは、この傾聴を用いて質問をし、話を深堀していくことで相手の気づきだけではなく、ヤル気や自主性そして可能性などを引き出します。
フィードバック
コーチングで、部下の話を聞きだしたら、ほめるだけではなく課題をあげ評価することも大切なポイントです。
フィードバックをしっかりと行い、こまめに目標を設定しましょう。
1on1ミーティングの導入について相談する
詳細はこちら個人面談とは
定期的に個人面談を導入している企業も多いと思います。
個人面談では、上司や部下、人事と従業員などが1対1で面談を行い、仕事に関することなどを離して社員の本音を聞くとともに、コミュニケーションを図ります。
個人面談のメリットと効果
個人面談には以下のようなメリットや効果が期待できます。
コミュニケーションを円滑にする
個人面談を行うことで、相手への理解が深まります。
コミュニケーションがより円滑になり、相手の本音を知ることがでるのです。
特に飲み会を敬遠する若手世代が増えた昨今では、「飲みニケーション」で親睦を深める従来のやり方が通用しなくなってきています。
そのため、個人面談の機会を設けて、コミュニケーションを図ることが重要です。
仕事に対するモチベーションの向上
個人面談を行うことで、社内の風通しが良くなり、従業員のモチベーションが向上します。
個人面談のデメリット
個人面談では、1on1のデメリットに加えて、以下のデメリットがあげられます。
上司の独演会になってしまう
上司が話をリードしていくと、一方的なコミュニケ―ションの「ティーチング」の場になってまうケースは珍しくありません。
「スキルや知識について学ぶ機会ができる」という意味では有効ですが、部下の自主性は育ちません。
また、一方的なコミュニケーションでは、信頼関係の構築が難しいと言えます。
1on1と個人面談の違いについて
1on1と個人面談の違いについてご紹介しました。
1on1では、個人面談よりも、上司のスキルが必要とされます。
しかし、部下に気づきを促すことにより能力を引き出すことで、一人ひとりの個性に合わせた指導や異動を行うことができ、成長機会を創出することができるようになります。
個人面談でも、コミュニケーションを図ったり、仕事に対するモチベーションの向上を計ることは可能ですが、コミュニケーションが上司から部下へ一方的なものになってしまいまがちです。
より密接なコミュニケーションを図り、定着率をあげ、業績向上・業務改善を図るためには、個人面談ではなく一歩踏み込んだ1on1がおすすめです。
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詳細はこちら1on1面談の進め方
それでは実際に1on1面談はどのように実施するのか、進め方について見ていきましょう。
主に次の4つのステップによって行われます。
STEP①面談の目的と目標を明確にする
まずは1on1面談を実施する前に、目的と目標を明確にしましょう。
特に重要なのは、上司と部下の間で意識を共有することです。
どのような目的・目標で面談を行うのかを明確にすれば、面談の意義を高められます。
また目的・目標がない1on1面談では、部下が何を話すべきか困ってしまうこともあるでしょう。
目的や目標は面談のテーマにもつながります。
どのような方向性で面談をするのかを明確にすることが第一です。
STEP②事前にテーマや議題を共有しておく
事前にテーマや議題を共有しておくことも重要なポイントとなります。
1on1面談は短時間で行うためです。
面談開始後に突然意見を求めても、話す内容に迷ってしまう可能性があります。
テーマや議題をあらかじめ共有しておけば、面談で話す内容を事前に組み立てられるでしょう。
事前に話すことを考えておいてもらうことにより、面談の内容がより深まり、有意義な場になりやすくなります。
STEP③上司が傾聴して部下の話を引き出す
1on1面談では上司が傾聴し、部下の話を引き出すよう心がけましょう。
傾聴とは自分の意見を出さずに、ただ相手の話に耳を傾け、受け入れるコミュニケーションのことです。
自分の意見が浮かんだとしても部下の話を遮ることなく、ただ聞き役に徹してください。
傾聴で大切となるのは次のようなことです。
【傾聴のポイント】
- 相手の話を否定しない
- 話を遮らない
- 解決策を提示しない
- 相手の話に対して判断を下さない
- 相手の話をそのまま受け入れること
話を遮ったり否定したりすると、自分の意見を押し付けることにもなりかねません。
部下の話を受け止める姿勢を意識しましょう。
STEP④次回に向けたアクションプランを立てる
1on1面談が終わったら、次回に向けたアクションプランを立ててください。
その日の部下の話を振り返り、次回はどのようなテーマで話をすべきかを考えるステップです。
1on1面談は継続的に実施することが重要となります。
そのときどきの部下の課題に対して、迅速かつ適切なフィードバックを行うためです。
あくまで部下が主体であることを念頭に置き、部下の成長を促すためのプランを立てましょう。
1on1面談のテーマ例
1on1面談ではテーマや議題に沿った面談を行います。
そのためテーマや議題は、面談の質を左右する重要な要素となります。
しかしテーマと言われても、どのようなテーマで話すべきか思い浮かばないと悩む方も少なくありません。
そこで1on1面談のテーマ例について見ていきましょう。
次のようなテーマであれば設定しやすく、部下の成長にもつながるはずです。
テーマ例①仕事の課題やプライベートの悩み
ひとつめは仕事における課題や、プライベートでの悩みです。
業務に関する課題を抱えていても、なかなか相談できない人は多いもの。
プライベートでの悩みとなれば、上司に相談するのも気が引けると考えてしまう方がほとんどでしょう。
仕事を進めるうえで、課題は足かせとなります。
プライベートで悩みを抱えると、仕事に集中しづらくなります。
仕事やプライベートでの悩みを聞くことによって、部下がより前向きに仕事へ取り組めるようになる場合もあります。
テーマ例②モチベーションや働きがい
モチベーションや働きがいについてテーマにするのも良いでしょう。
業務上でストレスになっていることや不安なこと、上司への要望などについて話してもらってください。
もちろん働き方についての考え方や挑戦してみたいことなど、悩みだけでなく、前向きな意見を話してもらっても構いません。
問題がないように感じられても、実は心の中に悩みを抱えている部下がいるかもしれません。
モチベーションが低下している、働きがいを感じられないなどの問題は業績に直結するので、定期的にチェックしておきたいものです。
テーマ例③職場環境や人間関係、健康状態など
職場の環境や人間関係、健康状態に関することもテーマのひとつです。
上司が知らないところで職場環境や人間関係に問題を抱えていたり、健康状態が良くなかったりすることもあるでしょう。
「上司には言いづらい」と隠している部下がいる可能性もあります。
職場環境や人間関係は、大きなストレスの要因となることがあります。
その結果、健康状態が悪化する可能性も考えられます。
職場では健康診断があるはずですが、健康診断ではわからない部分に不調を抱えていることもあるでしょう。
1on1面談は良い機会ですので、職場環境・人間関係・健康状態については必ず確認しておいてください。
テーマ例④キャリアの目標やプラン
続いてのテーマ例は、キャリアの目標やプランについてです。
現在の悩みや不安、課題などについてテーマ例をご紹介してきましたが、もちろん未来のこともテーマとなり得ます。
どのようなキャリアを築いていきたいか、目標や将来のプランはあるのか話してもらいましょう。
もしかすると、キャリアに不安を抱えている部下がいるかもしれません。
キャリアへの不安は退職につながる要因のひとつです。
1on1面談で不安を解消できれば、退職防止にもつながります。
不安を抱えていなかったとしても、部下をサポートするにはキャリアプランを知る必要があります。
より良いサポートを提供できるようになれば、部下の成長も促されるでしょう。
テーマ例⑤仕事の評価とフィードバック
仕事の評価をすること、フィードバックをすることもテーマのひとつです。
先に1on1面談では上司の傾聴が大切だと解説しました。
しかし上司が話してはいけないわけではありません。
部下の成長につながる内容であれば、仕事への評価を伝えたり、フィードバックをしたりすることにも意義があります。
ただし注意したいのは、1on1面談の目的は「人物の評価ではない」ことです。
人事的な評価を伝えてしまうと、部下のモチベーションが下がってしまうことも考えられるでしょう。
現在の評価と、さらに高みに上るためのフィードバックのみ行ってください。
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詳細はこちら1on1面談で大切なポイント
1on1面談はポイントを抑えて行われることによって効果が生じます。
必要となるスキルと、気をつけたいポイントについて見ていきましょう。
ポイント①コーチングを重視してティーチングを抑える
まずは「コーチング」を重視して「ティーチング」を控えることです。
コーチングとは質問をしながら傾聴し、話を深堀りしていくことで相手に気づきを与えること。
対してティーチングとは、知識やノウハウを相手に教えることを指します。
相手にとってティーチングは受動的なものであり、コーチングは能動的なものだと言えるでしょう。
どちらも人材育成の方法として広く採用されていますが、1on1面談ではコーチングによって部下自ら気づきを見つけることが重要です。
コーチングスキルをうまく使えば、部下自らが考え、行動し、成長してくれるはずです。
ポイント②批判ではなく建設的なフィードバックを行う
批判ではなくフィードバックを行うことも重要なポイントです。
先に評価とフィードバックもテーマのひとつであると解説しました。
ただし、フィードバックのつもりが批判につながることもあります。
厳しいことを伝えなければならないこともあるでしょうが、あくまでも部下を批判するのではなく、建設的な意見であるべきです。
部下が自分自身で答えを見出し、モチベーションを高めていけるような助言や提案を行うことがポイントとなります。
ポイント③話しやすい雰囲気づくりで信頼関係を築く
1on1面談では話しやすい雰囲気をつくり、信頼関係を築くことから始めてください。
話しにくい雰囲気では、部下の本当の考えを聞けないかもしれません。
雰囲気づくりには、堅苦しくないネーミングの面談であること、対話に適した場所で実施することが大切です。
また1on1面談の時間は部下の賛同を得たうえで、部下が希望する時間に設定するようにしましょう。
部下が腹を割って話せる環境をつくることを心がけてください。
ポイント④短期的な成果を求めずに継続的に取り組む
短期的な成果を求めずに、継続的に取り組むことも重要となります。
1on1面談は一度実施しただけで、劇的な効果が現れるものではありません。
継続的に実施していくことで部下のモチベーションを徐々に高めたり、働きやすい環境へと改善していくものです。
また継続することで、部下と上司の信頼関係が築かれやすくなります。
業務に無理が生じない範囲で構いませんので、1週間に1回、1か月に1回などのペースで継続してください。
継続によって、徐々に効果が表れます。
ポイント⑤面談以外のコミュニケーションも大切にする
1on1面談以外のコミュニケーションも大切にする姿勢が欠かせません。
面談を実施すれば部下と上司の関係性が強固になる、改善されると考えると危険です。
人間関係は普段のコミュニケーションによって築かれていくものですから、面談以外の場でも積極的にコミュニケーションを取りましょう。
1on1面談は相互理解の場ではありますが、関係性を構築するには普段のコミュニケーションも欠かせません。
1on1面談では部下の本音を引き出すことを重視して
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、1on1面談についてご理解いただけたと思います。
1on1面談は従来の面談とは違い、部下の本音を引き出し、部下自らに成長してもらうために助言・提案を行う場です。
ただし上司にもスキルが必要であり、面談の仕組みをなかなか構築できない、効果を実感できないということもあるかもしれません。
わたくしどもシーグリーンでは、成長と成果を実感できるよう、働き方を変える仕組みを提案しております。
サポートが必要な場合は、専門サービスの活用も検討すると良いでしょう。
監修者情報
山本 直司(やまもと ただし)
株式会社シーグリーンHR事業部
評価制度構築チームマネジャー
これまでに100社以上の評価制度構築・見直しを担当し、特に100名以下の中小企業に適したシンプルで効果的な仕組みづくりを強みとしています。
構築にとどまらず運用支援まで一貫して行い、導入企業の9割以上が継続的に活用している実績があります。
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この資料で分かること
- 1on1の目的と活用方法
- 1on1導入での失敗例
- 1on1で取り扱うべき話題
































