介護職の人事考課コメントの書き方|本人・上司の例文とポイント

介護職の人事考課で、「上司としてどういったコメントを書けば良いか?」と悩む人も多いのではないでしょうか?人事考課のコメントは、スタッフのモチベーションを左右するため、ポイントを押さえた対応が必要です。不適切な書き方をすると、信頼関係への亀裂や離職などにつながってしまいます。

そこで当記事では、介護職の人事考課コメントについて、書き方やコツを紹介します。上司と部下のコメント例文も紹介するので、ぜひお役立てください。

人事考課コメントとは?

人事考課コメントとは、人事考課の結果だけでは表せない内容や、補足部分などを文章にして伝えたものです。コメント内容によって、被評価者が前向きな気持ちになるケースもあれば、意欲低下につながる事例も見受けられるため、記載内容に注意する必要があります。

また人事考課コメントは、課題解決に向けてどのように取り組めば良いかがわかり、モチベーションアップアップもできる内容が望ましいでしょう。

介護職における人事考課コメントの必要性

介護職において、上司が人事考課コメントをする必要性は、以下の通りです。

評価の納得度を高める

スタッフは、単に評価結果だけを提示されても、なぜそういった評価になったかがわからないケースも多いでしょう。とくに介護職は、「丁寧に対応する」といった定性的な業務が多いため、評価結果に対する補足説明が不可欠です。評価結果に納得してもらうためにも、人事考課コメントは欠かせません。評価への納得度が高まれば、自身や組織の課題解決にも取り組もうと思えることから、意欲的な行動が期待できます。

また評価制度は組織の目標達成にリンクするため、上司として「各自の評価結果が組織の目標達成にひもづく」よう、評価の納得度を高める必要もあるでしょう。

モチベーションアップ

人事考課コメントがないと、結果を提示されるのみなので、スタッフに対して機械的な印象を与えかねません。一方でコメントがあれば、「どういった努力が見られた」や「こうした点を頑張っている」などと上司からの温度感を加えられるため、上司が自分の頑張りを見てくれていると実感できるでしょう。

上司が頑張りを見ているとわかれば、日々の業務に張り合いが出るとともに、モチベーションアップも期待できます。利用者への思いやりや丁寧さが重要な介護職において、モチベーションを高くもって働くことは、品質向上の観点からも重要です。

コミュニケーションにつながる

介護に関する仕事は、チームでの取り組みが基本です。とはいえ、上司が日頃から「部下とコミュニケーションをとらないといけない」と思っていても、なかなかきっかけがないケースも見受けられます。人事考課コメントを実施すれば、上司と部下がコミュニケーションをとるきっかけになるでしょう。上司と部下とのコミュニケーションが増えれば、部下が抱える悩みや課題にも気づきやすくなります。またコミュニケーションを取る機会が多いほど、信頼関係も芽生えやすくなるでしょう。

介護職の人事考課コメントを書くポイント

介護職の人事考課コメントを書く際には、以下のポイントを押さえることが大切です。

ポジティブに記載する

ネガティブな表記は、マイナスな気持ちを抱かせるため、モチベーション低下につながります。同じ内容であっても、「目標未達成なので頑張りましょう」から「目標未達成であるものの、あと一歩で達成できるところまで来ている」とポジティブに変換するだけで、大きく印象が変わるものです。そのため、極力「ポジティブな記載」を意識すると良いでしょう。

明瞭・簡潔さを意識する

コメントに熱が入ってしまうと、つい長文になりがちです。しかし、だらだらと書いてあるコメントは、スタッフ目線で見ると、論点がわかりにくく要点を得にくいでしょう。場合によっては、伝えたいこととは違った内容で捉えてしまうかもしれません。

そのため、人事考課コメントを書く際には、明瞭・簡潔さを意識しましょう。

他者との比較を避ける

周囲に優秀なスタッフがいると、その人と比べてしまいがちです。上司に悪気はないものの、比較された被評価者は、「自分の良さに気づいてくれない」と、悲しい気持ちになるでしょう。また人によっては、比較された相手に対し、妬みなどの感情をもつことがあり、人間関係にヒビが生じる可能性もあります。

人事考課コメントでは、他社との比較を避けたうえで、各自の得意な点に注目すると良いでしょう。

経験年数や社歴に合わせる

たとえば、新人に社歴5年ほどのレベルを求めても、対応できる人はほぼいません。人事考課コメントを記載する際には、相手の経験年数に合わせたコメントが求められます。経験年数や社歴に合わないコメントをすると、スタッフの成長を阻害する恐れもあるでしょう。また、経験年数や社歴に合わないコメントは、人事考課に対する納得度も低下させます。

介護職の人事考課における本人・上司のコメント例文

つづいて、介護職の人事考課におけるコメント例文を紹介します。本人・上司のコメント例文を掲載するので、ぜひ参考にしてください。

ケース1:日々の声掛け

介護職において、利用者とのコミュニケーションは必須です。入口となる声掛けは、コミュニケーションのスタートとなる重要な要素になります。

【スタッフのコメント例】

常に敬語で話すことを心がけています。入職当初は、フランクな言葉遣いをしていた場面もありましたが、最近は誰に対しても同じ言葉遣いができるようになりました。

【上司のコメント例】

利用者様への敬語を徹底しており、意識の変化が感じられます。プラスして、利用者様を主体とする声掛けができると尚良いと思います。たとえば、「横を向いてください」ではなく「横を向いていただけますか?」です。利用者様を主体とする声掛けは、身体の残存能力に働きかけるため、介助する側としての労力も最小限に抑えられます。

ケース2:入浴の介助

入浴は利用者様の清潔さを保つことにつながるものの、事故に直結しやすい場面でもあります。対応するスタッフは、多岐にわたる細かな配慮が必要です。

【スタッフのコメント例】

利用者様の思わぬ事故やトラブルにつながるため、入浴前に利用者様の身体状態を確認するよう徹底しています。湿疹や傷を発見した際には、すぐに報告しています。

【上司のコメント例】

利用者様の細かな傷などもすみやかに報告してくれるため、いつも安心して任せられます。利用者様の当日の状況や顔色を注視することも、入浴時の事故回避につながるので、こうした点もプラスして意識すると良いでしょう。丁寧な対応は利用者様からも評判なので、来期も引き続きよろしくお願いします。

ケース3:排泄の介助

排泄の介助は、利用者様の尊厳にもかかわる部分であるため、心に寄り添った対応が求められます。

【スタッフのコメント例】

尿意や便意がない利用者様には、定期的に排泄できるよう誘導しています。尿意や便意を伝えられた際には、そのこと自体に「教えてくれてありがとうございます」と伝えるよう心がけています。

【上司のコメント例】

尿意や便意を感じにくい利用者様への定期的な誘導は、非常に大切なことです。利用者様が排泄で失敗した際にも嫌な顔ひとつせず、テキパキと対応してくれる点もありがたいです。

ただし利用者様の尊厳に配慮したとしても、「(職員に)排泄介助をしてもらうのが申し訳ない」と思う人も存在します。排泄介助を申し訳なく思う人は、水分摂取を控えがちなので、こうした利用者様には水分摂取を定期的に促してもらえればと思います。

介護職の人事考課コメントを適切に記載しよう

介護職の人事考課コメントを適切に記載し、評価の納得度向上やモチベーションアップにつなげましょう。また人事考課のベースとなる「人事評価制度」そのものが、適切に機能していない組織も少なくありません。人事評価制度自体が不適切であれば、コメント内容にもズレが生じてしまいます。

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