【事例あり】KPIを使った目標設定例3選!手順やポイントを解説

KPIとは、目標達成に向けて設定したプロセスにおいて、達成度をはかる指標のことです。
目標達成に欠かせない要素であり、適切な設定および活用によって効果を最大限に発揮できます。

そのため、従業員に「目標を達成してほしい」と願う企業担当者様は、KPIの適切な設定手順やポイントを知ることが大切です。

当記事では、KPIの概要や設定手順をはじめ、押さえるべきポイントも解説します。
従業員の目標達成を目指す企業担当者様は、ぜひ当記事をお役立てください。

KPIとは?

KPIとは、Key Preformance Indicatorの頭文字をとった言葉で、重要業績評価指数と訳します。

たとえば、半年後までに体重を5kg減らしたいとしましょう。そのためには、毎月およそ0.8kgの減量が必要です。この「毎月0.8kgの減量」がKPIに該当します。

KPIが存在することで、目標達成までの道筋はもちろんのこと、いつまでに何をすれば目標が達成できそうかがわかります。またKPIをチェックすることで、計画どおりに物事がすすんでいるかが判断できるでしょう。

KGIとの違いは?

KGIは、Key Goal Indicatorの頭文字をとった言葉であり、重要目標達成指数と訳します。

平たく言えば、最終目標の数値です。先述の「半年後までに体重を5kg減らす」といった目標はKGIです。

KGIとKPIは密接に関わり合っています。

なぜなら、プロセスの目標数値であるKPIを順番にクリアすることで、最終目標であるKGIを達成できるからです。

CFSとの違いは?

CSFは、Critical Success Factorの頭文字をとった言葉であり、日本語で重要成功要因と訳します。CFSを数値化したものはKPIです。

「半年後までに体重を5kg減らす」というKGIを掲げた場合に、目標達成のために、毎月コンスタントに減量するといった目標を掲げます。

CFSは「毎月コンスタントに減量する」に該当します。とはいえ、CFSだけでは、毎月どれくらいの減量をすれば目標達成が叶うかがわかりません。

そこで、「毎月0.8kgの減量をする」という数値であるKPIを設定します。

KPIを設定するメリット

KPIを設定すると、さまざまなメリットが期待できます。
主なメリットは以下の通りです。

可視化による個人目標の明確化

KPIを設定すると、目標達成に向けてクリアすべき「各プロセスの目標」を数値化できます。

プロセスごとにやるべき内容が数値として目に見えるため、ステップにおける個人目標が明確になります。段階ごとの個人目標が明確になれば、最短ルートを通ってゴールにすすめるでしょう。

いつまでに何をクリアすればよいかがわかることは、日々の業務を遂行するうえでの安心感にもつながります。

チーム全体のモチベーションアップ

KPIは、個人に対してはもちろんのこと、チームの目標にも活用できます。

チームにおける最終目標の数値(=KGI)に対し、各ステップごとに数値目標(=KPI)を設定し、チーム全体での共有が可能です。

1つの数値に向かって、チーム全員で一丸となって業務を行えば、KGIの達成率が高まります。また同じ目標に向かうため、チーム内での結束力が高まり、各自のモチベーションアップにもつながるでしょう。

公平な評価に役立つ

個人目標におけるKPIを「評価基準の一部」として活用すれば、公平な評価結果を導くことに役立ちます。

KPIを「(従業員自身が個人目標を定める)MBO評価」として活用すれば、誰が見ても共通認識をもてる「数値」によって判断されるため、評価結果に対する納得度が高まります。

しかし、KPIのみを評価で活用することは危険です。なぜなら、数値以外の要素を評価できないからです。

あくまでKPIはMBO評価として活用し、ほかの評価方法も併用するとよいでしょう。

KPIを設定するデメリット

KPIの設定には多くのメリットがあるものの、デメリットも存在します。
主なデメリットは以下の通りです。

数値達成以外の部分が見えなくなるおそれ

KPIの達成ばかりを追い求めると、数値で判断しにくい「頑張り」や「思いやり」といった定性的な部分の評価が不足する傾向にあります。

定性的な部分を無視した「数値目標の達成」に焦点をあてた評価体制は、従業員のパフォーマンスやモチベーションを低下させてしまいます。

KPIを設定する際には、定性的な要素も評価できるような仕組みも一緒に用意するとよいでしょう。
たとえばシーグリーンの評価システム【評価ポイント】では、「手伝ってくれてありがとう:2pt」や「気にしてくれてありがとう:1pt」など、お互いの頑張りをポイント評価できます。

不明瞭なKPIだと目標を達成できない

そもそものKPIが不明瞭だと、目標達成が難しくなります。

不明瞭なKPIは従業員を迷わせ、なかなか目標達成につながらないことから、モチベーションを下げるおそれがあるでしょう。

そのため、適切なKPIの設置が不可欠です。

KPIを設定する際には、以下の3点を意識しましょう。

1、整合性…KPIを達成するとKGI達成につながるか?
2、安定性…数値を安定的に取得できるか?(例:他の業務と被ると安定しない)
3、単純性…
関係者全員が理解できるような、わかりやすい内容か?

上記が1つでも欠けたKPIは、適切に機能しにくいと言えます。

KPIはどういった場面で使う?3つの設定例を紹介

ここではKPIを使う場面をイメージすべく、3つの設定例を紹介します。

1、営業

会社の売上に直接的にむすびつく営業というポジションは、KPIの設定が不可欠です。
部署全体はもとより、個人にKPIを設定することで、効果的な営業活動ができます。

営業のKPI設定例
売上金額、顧客単価、新規顧客の獲得数、見込み顧客の人数、商談数、受注数、架電数

2、マーケティング

商品やサービスを販売するための戦略を立案するのが、マーケティング部門です。昨今ではWebマーケティングなども注目を浴びています。

マーケティングのKPI設定例
・申し込み数、新規顧客数、コンバージョン数、コンバージョン率、受注数、商談数、購入単価、名刺交換数、アポイント数

とくにWebマーケティングの場合には、表示回数・クリック率・回遊率などのKPIも必要です。

3、事務職

事務職は一見、会社の売上に直結しているように見えないため、営業部門やマーケティング部門と比較するとKPIを設定しにくいでしょう。とは言え、目標を達成すべくKPIの設定は必要です。

事務職のKPI設定例
~人事部~
採用人数、採用コスト(時間・お金)、離職率、求人応募数、面接参加者の人数
~経理・財務部~
資金調達度、経費削減率、固定資産回転率、自己資本利益率

KPIの設定手順

ここでは、KPIの設定手順を解説します。
以下のステップに沿ってすすめるとスムーズでしょう。

Step1:KGIを設定

まずは、最終的に達成したい目標である「KGI」を設定します。

そもそもの目標であるKGIがなければ、KPIを設定できません。KGIを明確にすることで、向かうべき方向がクリアになり、適切なKPIを設定できます。

Step2:チーム全体のCFS・KPIを設定

最終的に達成したいKGIを設定したら、チーム全体として目標達成に向かうためのプロセス(=CFS)と、CFSに対する具体的な数値(=KPI)を決定します。

大まかなプロセスを複数抽出したうえで、本当に必要なプロセスを取捨選択すると、スムーズに決めやすいでしょう。当ステップで「チーム全体」のCFS・KPIを設定することで、次のステップで紹介する「個人」のCFS・KPIにもブレが生じにくくなります。

Step3:個人のCFS・KPIを設定

チーム全体のCFS・KPIにもとづき、各メンバーのCFS・KPIを設定します。

たとえば、チーム全体における1つのCFS・KPIが「6月までに3,000万円を売上げる」だとしましょう。

チームのCFS・KPIを踏まえたうえで、従業員それぞれのCFS・KPIを設定します。その際には、各自の得意・不得意などを見極めたうえで決めることが大切です。

Step4:KPIツリーの整合性をチェック

最終目標であるKGIをトップとし、その下にCSFとKPIが存在する3重構造を「KPIツリー」と言います。ツリーの整合性がとれないと、KGIが達成できない仕組みになっているため、整合性のチェックは欠かせません。

たとえば、以下のようなKPIツリーがあったとしましょう。

KGI_前年比の売上30%を目指す
CSF_顧客の母数を増やす
KPI_新規顧客を年間に30社獲得する

まずは、KPI(=新規顧客を年間に30社獲得)が、CFS(=顧客の母数を増やす)につながるかを考えます。
ここで、既存客のフォローも必要だと判断すれば、KPIに「既存顧客に月2ペースでコンタクトをとる」といった文言も追加します。

KPIを設定する際の注意点

KPIの設定では、SMARTの法則を意識するとよいでしょう。
以下に、SMARTの法則における詳細と注意点を解説します。

わかりやすい内容にする(S:Specific)

人によって解釈が異なるわかりにくい内容だと、認識相違が生じ、行動内容が変わるおそれもあります。バラバラな行動は、KPIの達成率を下げてしまうでしょう。

誰もが共通な認識をもてるよう、具体的でわかりやすい内容を心がけます。

数値で表現する(M:Measurable)

数値という「誰が見ても共通の認識をもつ指標」を用いることで、解釈にブレが生じにくくなります。また数値化してあると、「何を・いつまでに・どれだけ達成すべきか?」がわかるため、行動にうつしやすくなるでしょう。

現実的な目標を設定する(A:Achievable)

現実的な目標ではないと、行動する気が起きません。
なぜなら、「どうせ達成できない」と他人事かつ否定的な考えが生じるからです。

「もう少し頑張れば目標に到達しそう」という内容が理想的だと言えます。

KGIと関連させる(R:Relevant)

KPIはKGIを達成するための要素であるため、KGIと関連させることは必須です。
KPIを達成すればするほど、KGIの実現に近づく内容を設定しましょう。

期限を決める(T:Time-bounded)

なにごとも、期限が決められていないものは後回しにしがちです。
達成する期限を明確に定めると、メリハリをもった行動につながります。

目標達成に重要なKPIを適切に設定しよう

最終目標を達成するために、KPIは重要な意味をもちます。
適切に設定しなければ、なかなか目標を達成できないでしょう。

また評価制度にKPIの要素を入れることは大切なものの、「KPI=すべての評価項目」にしてはいけません。

KPIを適切に設定し、納得度の高い評価も実現したい方には、人事評価システム「評価ポイント」がオススメです。評価の数値化でお悩みの方は是非ご検討ください。

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