コンピテンシー評価とは? メリット・注意点やモデルの作り方も解説

「新しい評価制度を構築したい」

「業績につながる評価にするには?」

このようなお悩みをお持ちの方は、コンピテンシー評価を検討してみてはいかがでしょうか。

コンピテンシー評価は、高い業績を上げている人材に注目し、その行動特性を多くの人が発揮できるようにする評価手法です。

この記事では、コンピテンシー評価とはなにか、メリット・デメリットやモデルの作り方についてわかりやすく解説します。

コンピテンシー評価とは? 

「コンピテンシー評価」という言葉は、人によっては聞き慣れない言葉かもしれません。そのためコンピテンシー評価という言葉の意味やその発祥について、正しく理解する必要があります。

コンピテンシーとは「優秀な人材の行動特性」

コンピテンシー評価について解説する前に、そもそも「コンピテンシー」とはなにかについて理解をしておく必要があります。

コンピテンシーとは「優秀な人材と平凡な人材の違いを生み出す行動特性」のことです。

コンピテンシーの特徴については、その発祥を理解するとわかりやすいです。

コンピテンシーという概念が生まれたのは1970年代。その概念を提唱したのは、ハーバード大学教授のマクレランド博士であったといわれています。

マクレランド博士は、当時アメリカの国務省から、ある業務に関する改善依頼を受けました。それは将来の国を支えるエリートである、若手外交官の選抜方法についてでした。

外交官になるには、高度な採用試験を優秀な成績で通過する必要がありました。しかしその高度な採用試験を通過したすべての人材が、外交官として優秀な成果を上げるとは限らない、という実情があったのです。

マクレランド博士は、優秀な外交官と平凡な外交官の比較を行いました。その結果、業績や結果を分ける3つの特性を発見したのです。それは「異文化の対人感受性」「政治的なネットワークの学習スピード」そして「他者に対するポジティブな見方」でした。学力ではなく、これら3点が、非凡な外交官と平凡な外交官を分け隔てる行動特性だったのです。

このように、「優秀な人材と平凡な人材を比較し、その差を分ける行動特性を見出していく」というものが、コンピテンシーの基本となる考え方です。

【参考】人事・組織のグローバル化対応(後編)人材能力の可視化への挑戦 | ヘイ・グループのグローバル人事・組織革新(1/7)|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

コンピテンシー評価とは「好業績者としての行動特性を伸ばす評価手法」

コンピテンシー評価は、ハイパフォーマーが出す優れた業績につながる思考・行動を整理し、評価を行うことで、その能力の伸長や発揮を促す評価手法です。

コンピテンシー評価の評価項目

コンピテンシー評価の評価項目としては、スペンサーらが考えた「コンピテンシーディクショナリ」から考えると良いでしょう。

スペンサーらは、コンピテンシーの種類を以下の表のように整理しています。

【出典】日本におけるコンピテンシー―モデリングと運用―(井村直恵)/CORE – Aggregating the world’s open access research papers

優れたパフォーマンスを出すためのコンピテンシーは、上記のような分類にて整理できそうです。

コンピテンシー評価の特徴と他の評価制度との違い

ここまではコンピテンシー評価の特徴について解説してきました。ここからは理解を深めるために、コンピテンシー評価と他の評価制度との違いについて解説していきたいと思います。

コンピテンシー評価と能力評価の違い

能力評価とコンピテンシー評価はよく似ていますが、大きな違いがあります。それは、能力評価は社員を持つ能力自体を評価するのに対し、コンピテンシー評価は「持つ能力を発揮しているか」を評価する点です。

コンピテンシー評価と情意評価の違い

コンピテンシー評価は、仕事への取組姿勢や勤務態度を評価する「情意評価」とも似ているように思えます。しかし実態は大きく異なります。

情意評価では、「その社員がどれだけ業績を上げているか」は評価しません。それよりも、「欠勤や遅刻がない」「報連相をしっかり行う」「返事が良い」などの良好な勤務態度について評価します。

しかしコンピテンシー評価は、高い業績を上げるその行動特性のみを評価します。「欠勤や遅刻のなさ」がパフォーマンスに結びついていなければ、評価されません。

コンピテンシー評価の主なメリット3点

コンピテンシー評価を行うことで、より業績やパフォーマンスを重視する組織とすることができます。

メリット① 成果や業績向上につながる能力開発ができる

コンピテンシー評価を通じ、ハイパフォーマーの行動特性を多くの社員が習得するよう促すことができます。

コンピテンシー評価では、「その行動特性を習得できれば誰もがハイパフォーマーになれる」という考え方をとります。この考え方を実現できるような評価項目を整備できれば、多くの社員の行動特性を改善し、業績向上を実現できる可能性があります。

メリット② 定量的な指標で管理できる

コンピテンシー評価は、数値などの定量的な指標で表現されます。そのため目標の設定や評価、検索などの管理が行いやすいというメリットがあります。

メリット③ 納得感のある人事評価が実現できる

コンピテンシー評価で評価するのは「高いパフォーマンスを発揮するための行動特性」です。評価の基準が明確になり、プロセスも評価することができますので、情意評価のように評価者の主観により大きく評価や待遇が変わる、という事態を避けることができます。そのため、多くの社員にとってフェアで、納得感のある評価制度が実現できると考えられています。

コンピテンシー評価のデメリット・注意点2点

一方、コンピテンシー評価の制度設計は難易度が高く、熟慮した上で実装する必要があります。

コンピテンシーモデルの作り方に注意

コンピテンシー評価では、ハイパフォーマーの優れた行動特性を整理しまとめた「コンピテンシーモデル」を設定する必要があります。

このコンピテンシーモデルを正しく設定できるかどうかが、コンピテンシー評価の導入におけるカギを握っているといっても過言ではありません。

「コンピテンシーモデル論」を執筆した藤井氏によると、コンピテンシーモデルの設定方法には、 以下の3種類があります。

  • 実在するハイパフォーマーの行動特性を分析する「リサーチベース・アプローチ」
  • 経営ビジョンや戦略を実現するために必要な行動特性を定める「戦略ベース・アプローチ」
  • 企業文化や理念からあるべき人材像とその行動特性を定める「価値ベース・アプローチ」

リサーチベース・アプローチは、その発祥や起源に即した手法です。実業務に即したモデルが作成できますが、策定までに多大な時間や労力、そして高度なリサーチスキルが必要とされます。

また、「これまで優秀だった人材の行動特性」しか評価できないため、今後大きく変わる必要がある組織では機能しないリスクもあります。

「戦略ベース・アプローチ」や「価値ベース・アプローチ」では、比較的作成が容易であり、組織のありたい姿に近づけていくことが可能ですが、机上の空論になってしまう可能性もあります。

項目によっては評価システムが必要

上司だけでは把握しづらいコンピテンシーを設定した場合や、紙やエクセルで回していたのでは評価フローが複雑になる場合、評価システムが必要になる場合もあります。

たとえばコンピテンシー評価項目に「積極性」「他の社員との協調性」「プロジェクトメンバーとの関係性」など、上司の一存では評価しづらく、多面評価を行う必要がある場合、エクセルや紙での運用はかなり煩雑なものとなります。

また「評価フローを回す」「差し戻しをする」「評価内容の記録を行う」など、システム化することで効率が良くなる運用も大いにあります。

目標達成具合で個人のパフォーマンスを測定し、パフォーマンスの高い人材の行動特性を可視化できる、シーグリーンの「ヒョーカクラウド」を使うなど、効率的な運用の実現をおすすめします。

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コンピテンシー評価の導入手順

コンピテンシー評価を実現する上では、コンピテンシーモデルの作成が非常に重要です。

1.コンピテンシーモデルの設定方法を決める

「リサーチベース」「戦略ベース」「価値ベース」のうちどのアプローチをとるかを決めます。「リサーチベースを基本としつつ、戦略・価値ベースの要素も取り入れる」といったハイブリッド型で設定することも可能です。

2.ハイパフォーマーの観察とヒアリング

リサーチベース・アプローチをとる場合は、ハイパフォーマーが優れた成果を生み出しているのはなぜか、観察やヒアリングを通じて要素を洗い出していきます。

3.コンピテンシー項目の洗い出し

観察した結果や、企業戦略や企業理念から考えだしたコンピテンシー項目をリストアップしていきます。

前述のスペンサーらが考案した「コンピテンシーディクショナリ」を参考にしても良いでしょう。

4.コンピテンシーモデルの作成

洗い出したコンピテンシー項目をもとに、育成を目指すコンピテンシーモデルを作成していきます。 

コンピテンシー評価はコンピテンシーモデルの作成が肝心

この記事では、コンピテンシー評価とはなにか、そのメリット・デメリットや導入手順について解説しました。

コンピテンシー評価においては、コンピテンシーモデルの作成が最も重要です。また、「リサーチベース」「戦略ベース」「価値ベース」のうちどのアプローチをとるかによっても大きく変わってきます。

この記事も参考に、皆様の会社にあわせたコンピテンシーモデルの作り方を検討いただければ幸いです。

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